エリザベス女王杯と福島記念の【全頭診断・騎手評価】
エリザベス女王杯で【馬連5万1,870円】、福島記念で【3連単5万2,260円】がヒットしました。早めに【全頭診断・騎手評価】を投稿しておきます。今週の的中実績、土曜の【全頭診断・騎手評価】はあらためて…
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阪神11R
エリザベス女王杯(GI) 11月14日(日) タフな馬場が鍵に…
牝馬が争うGI競走で、舞台は阪神の芝2200m(内)。
外回りの1コーナー部分からのスタート、内回りでコーナーを4つ回る。3コーナーの残り800mから直線の残り200mまで緩めの下り坂が続き、200m~100mは急な上り坂になっている。直線距離は356.5m(Aコース使用時)。もちろん競馬によるが、残り600mあたりからペースが上がり、ラスト1ハロンが少しかかるというラップ構成になりやすい。
芝は連続開催の6週目で、Aコース使用6週目になっている。京都が改装工事に入り、使用頻度が高くなっている阪神。内が少し荒れ、全体にタフな馬場になってきている。
JRAからは「コース全周に亘り、内側に傷みがあります。特に内回り3コーナーから4コーナーの傷みが顕著です」と発表があった。土曜の競馬を見ると、意外と内を突いた馬が走れていて、ただ、上りがかかって外からの追い込みが決まるケースもあった。
間違いなく言えるのは、時計を要す状態であること。結果を出すにはパワーとスタミナが必要になり、あと、折り合って末を残せるかどうかも大きなポイントになる。
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以下、全頭診断と騎手評価(50音順)。全頭診断は相対評価、騎手評価は絶対評価で、騎手評価は騎乗馬との相性を考慮する場合がある。
【アカイイト】評価B 騎手A-
4歳馬。3歳時に忘れな草賞(L)で4着、ローズSで7着。3勝クラスは2→3→2→1着でクリア。4歳になった5月のシドニートロフィーは、道中で力んだ走りになり、直線でラチ沿いを抜け出したものの、最後で鈍ってソフトフルートに差された。続く阪神芝1800m(外)は、後方でタメて直線で大外へ。展開自体も向き、グイグイと長く伸びて追い込み切っている。秋は4ヵ月ぶりという状況で府中牝馬Sに挑戦、攻め量は少なめだった。ボコッと出て後手に回り、少しハミを噛んだ走り。直線に向くと外に動かして追い出し、しっかりと脚を使って0秒5差の7着まで詰めた。自身の上がりは33秒4だった。中間は栗東の坂路で乗り込み、2週前の金曜に52秒4、1週前に53秒0で追われている。今週は幸英明が跨り、終いに追われて51秒6-12秒7。ラストの動きは重かったが、雨が残った悪い馬場の中で速めのラップを刻んだだけに致し方ない。4ハロンの時計は自己ベストとなる数字で、陣営は「この馬史上、最高のデキ」と話している。気のいい馬なので折り合いがポイントになるが、レースは流れてくれるし、2戦目でガス抜きはできていそう。相手が強く、56キロを背負うのは初めて。それでもしっかりとタメが利けば、2200mの距離でも終いに脚を使ってくるだろう。もつれる展開になってくれれば。
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阪神11R
エリザベス女王杯(GI) 11月14日(日) タフな馬場が鍵に…
牝馬が争うGI競走で、舞台は阪神の芝2200m(内)。
外回りの1コーナー部分からのスタート、内回りでコーナーを4つ回る。3コーナーの残り800mから直線の残り200mまで緩めの下り坂が続き、200m~100mは急な上り坂になっている。直線距離は356.5m(Aコース使用時)。もちろん競馬によるが、残り600mあたりからペースが上がり、ラスト1ハロンが少しかかるというラップ構成になりやすい。
芝は連続開催の6週目で、Aコース使用6週目になっている。京都が改装工事に入り、使用頻度が高くなっている阪神。内が少し荒れ、全体にタフな馬場になってきている。
JRAからは「コース全周に亘り、内側に傷みがあります。特に内回り3コーナーから4コーナーの傷みが顕著です」と発表があった。土曜の競馬を見ると、意外と内を突いた馬が走れていて、ただ、上りがかかって外からの追い込みが決まるケースもあった。
間違いなく言えるのは、時計を要す状態であること。結果を出すにはパワーとスタミナが必要になり、あと、折り合って末を残せるかどうかも大きなポイントになる。
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以下、全頭診断と騎手評価(50音順)。全頭診断は相対評価、騎手評価は絶対評価で、騎手評価は騎乗馬との相性を考慮する場合がある。
【アカイイト】評価B 騎手A-
4歳馬。3歳時に忘れな草賞(L)で4着、ローズSで7着。3勝クラスは2→3→2→1着でクリア。4歳になった5月のシドニートロフィーは、道中で力んだ走りになり、直線でラチ沿いを抜け出したものの、最後で鈍ってソフトフルートに差された。続く阪神芝1800m(外)は、後方でタメて直線で大外へ。展開自体も向き、グイグイと長く伸びて追い込み切っている。秋は4ヵ月ぶりという状況で府中牝馬Sに挑戦、攻め量は少なめだった。ボコッと出て後手に回り、少しハミを噛んだ走り。直線に向くと外に動かして追い出し、しっかりと脚を使って0秒5差の7着まで詰めた。自身の上がりは33秒4だった。中間は栗東の坂路で乗り込み、2週前の金曜に52秒4、1週前に53秒0で追われている。今週は幸英明が跨り、終いに追われて51秒6-12秒7。ラストの動きは重かったが、雨が残った悪い馬場の中で速めのラップを刻んだだけに致し方ない。4ハロンの時計は自己ベストとなる数字で、陣営は「この馬史上、最高のデキ」と話している。気のいい馬なので折り合いがポイントになるが、レースは流れてくれるし、2戦目でガス抜きはできていそう。相手が強く、56キロを背負うのは初めて。それでもしっかりとタメが利けば、2200mの距離でも終いに脚を使ってくるだろう。もつれる展開になってくれれば。
【アカイトリノムスメ】評価A+ 騎手A-
3歳馬。母アパパネは牝馬三冠を達成し、エリザベス女王杯は3歳時と4歳時に走って共に3着だった。春はクイーンカップを早めに先頭に並んで渋太く勝利。桜花賞はポジションを取りに行く競馬で、直線はジリジリと脚を使っての4着だった。レコード勝負の中で0秒2差だから中身は濃かった。オークスは馬群の中で折り合い重視でじっくりと。直線はスムーズには捌けず、少しウロウロすることになる。最後は内めを割って2着に上がった。秋華賞はぶっつけ、十分に乗り込んで好仕上がり。タテ長の競馬の中、中位の前の外でスムーズな競馬ができた。直線に向くとしっかりと脚を使い、残り100mで先頭に立って押し切っている。馬場は良でも少し渋っていたし、当日は強い風が吹いて厳しい状況だった。勝ち時計は2分01秒2で、レースのラスト1ハロンは12秒9とかなりかかっている。断言はできないが、結果的にレベルの高くない競馬だったかもしれない。少し休ませてから、美浦でウッドコース中心の乗り込み。1週前は3頭併せの内につけてラスト1ハロンが11秒6、今週は追走して内に併せ、強くは追わずに67秒4-11秒9という時計だった。見えない疲れがあるかもしれないが、順調に乗ってはきた。スパッとは切れないものの、スタミナと持久力があり、根性を出して長く伸びるのが特徴的。このあたりはアパパネとそっくりだ。初の古馬との手合わせといえ、2キロ少ない54キロで走れるのは大きい。荒れてきている阪神の馬場は問題なく、内回りの2200mにも対応可能。戸崎圭太は馬群に入ると捌きが甘いところがあるが、うまく立ち回れば争覇圏にも。
【イズジョーノキセキ】評価B 騎手A+
4歳馬。3歳の春にはチューリップ賞で4着、忘れな草賞で2着。秋に1勝クラスを勝った時には、2着エアロロノア(現オープン)に2馬身の差をつけている。4歳になって、春に阪神の芝2000m(内)で3勝クラスをハナ差の2着。タメる競馬でなだめつつの追走、4コーナーで動きづらくて厳しい情勢だったが、最後は馬群を割って伸びて強襲した。続くマーメイドSはハンデ52キロで7着。やはり少しハミを取るところがあり、直線は弾けなかった。秋緒戦は自己条件で、舞台が阪神の芝1800m(外)、秋華賞と同じ日。インでなだめ、直線で大きく外に動かす形に。追われると、しっかり伸びて2着に上がった。さらに外から差したジェラルディーナは強すぎた。馬場を考えると、1分46秒4(良)の走破時計、33秒7の上がりは優秀な数字である。中間は栗東でじっくりと乗られてきた。1週前にCWコースで66秒台-12秒級。今週は和田竜二が跨ってCWに入れ、追走して内に併せていく。直線は楽な感じで先着し、時計は66秒級-12秒台だった。2200mを走るのは初めて。折り合いがつくかと56キロの克服が鍵になるが、まだ全能力が見えていないところがあり、何か不気味な存在である。噛み合うと一発も。
【ウインキートス】評価A+ 騎手A-
4歳馬。岡田一族。今年の春に3勝クラスをクリアしてオープン入り。日経賞(15着)は3コーナーで外から寄られてラチにぶつかり、あとは鞍上が追わなかった。続いて東京芝2500mで目黒記念をV。ハンデは52キロで、2番手につけて超スローの流れに。直線で少し外に動かして楽に先頭に立ち、追われるとグッと後続を離して快勝した。ラスト2ハロンは10秒6-11秒1という速さで、自身の上がりは32秒5だった。夏の札幌記念は9着。好位の外で走りはスムーズだったが、勝負どころで反応できずに下がってしまった。18キロ増で太かった感じだ。中山のオールカマーは14キロ絞って472キロ。中位のインで脚をタメ、直線に向いてから追い出す。頭が少し高くなり、外に動かす形にもなったが、長くしっかりと伸びて2着に上がった。中間は美浦で意欲的な調整ぶり。1週前にはウッドコースで併せ馬を行い、大外を通る形に。追われるとグイグイ伸びて突き放した。時計は66秒6-11秒8だった。今週はウッドで単走、やはり大外から。馬の気持ちに任せて強くは追わない。それでもバランスが良く、力感ある走りで66秒3-11秒9をマークした。馬体は充実しているし、いいデキにあるのは間違いない。阪神は初になるが、問題なく対応できそう。ゴールドシップ産駒でスタミナとパワーがあり、今の力を要す馬場は合っている。56キロも克服できていいだろう。あとは長距離輸送の影響が出ないといい。自在に運べる点は強みになるし、好勝負が可能とみた。
【ウインマリリン】評価A- 騎手S
4歳馬。岡田一族。3歳時には春にオークスで2着。好位のインから直線でラチ沿いを伸びるという競馬で、勝ったデアリングタクトとの差は半馬身だった。秋は秋華賞ではリズムの悪い走りになって15着に大敗。次にエリザベス女王杯を使って4着に健闘した。オークスの時のようにインでタメ、直線で2番手に上がるかのシーンをつくっている。上位3頭はラッキーライラック、サラキア、ラヴズオンリーユーで、価値ある3歳での4着だった。4歳になって、春は日経賞を制覇し、天皇賞(春)で外を回る形になりながら5着に駆けた。秋緒戦はオールカマー。好位のインにつけ、直線に向いて手応え十分。スペースがなくなったが、外に切り返して追い出し、2頭の間をグッと割って抜け出した。強い勝ちっぷりだった。その後は元から問題があった右の肘種が大きくなり、熱が上がってしまう。それでも美浦でウッドコースを中心に乗り込んできた。1週前は横山武史が跨り、マイネルファンロン(オープン)を追いかける稽古。直線の推進力はひと息で、遅れてしまった。今週は単走で終い重点。追われてからの伸びは先週よりも良く、ラスト1ハロンは11秒5だった。上がってきてはいるのだろう。やはり熱が出たことが実戦で影響しないかがポイントになる。もちろん、実力的には上位。武史は追いに関しては現役トップクラスだし、力を出し切れば上位にも。
【クラヴェル】評価B 騎手A+
4歳馬。祖母ディアデラノビアは、06年にエリザベス女王杯を3着、07年に4着。今年の6月に格上挑戦でマーメイドS(ハンデ51キロ)を使って2着。後方に下げて道中は行きたがっていたが、直線で大外からグイグイと伸びてクビ差に強襲した。続く中京記念(ハンデ52キロ)は直線で荒れている内を突く形になっての3着。新潟記念(ハンデ52キロ)は折り合い重視でじっくりと。直線で外に動かしてよく伸びたが、さらに外を走らせた牡馬2頭に及ばずの3着だった。それでも中身は濃い。その後は放牧に出され、栗東に戻ってからの調整は意欲的。1週前の金曜には、坂路で52秒5-12秒3でしっかりと追われた。今週はCWコースで前の2頭を追いかける形。直線で内から取りつき、楽な手応えのまま同入している。時計は66秒台-12秒台だった。いいデキにあるとみていい。行きたがる気性が課題だったが、控える形で息が入るようになってきた。GIで流れればガツンとは行かないだろうし、阪神の2200m(内)にも対応できていい。斤量が前走から4キロ増えて56キロになるのは楽でないが、末脚を活かす競馬ができると食い込むシーンも。
【コトブキテティス】評価C 騎手B
4歳馬。重賞の経験は、3歳時の紫苑S(10着)のみ。2勝目からの3勝は、すべて舞台が府中の芝2400m。3勝クラスの前走は、7番人気の低評価で、大外18番枠から出て中位の後ろで脚をタメる形に。直線に向いて、大外に構えて手応え十分。追われてしっかりと加速し、残り200mを待たずに先頭に立つ。そのまま最後まで脚を使って押し切った。2分25秒7(良)だから時計は強調できないが、競馬としては強かった。馬体重が444キロ。春に2勝クラスを勝った時が432キロだったから、パワーアップしてきたのだろう。中間は美浦でウッドコースと坂路を併用して熱心な乗り込み。今週はウッドコースで前を大きく追いかけ、直線で内に併せると馬なりのまま軽快な動きを見せて同入した。時計は67秒3-11秒7だった。さらに上向いてきた印象がある。阪神の芝2200m(内)にも対応できそうだが、GIでとなると微妙。56キロも楽でない。輸送で馬体を減らさず、終いに徹すれば詰めてはくるか。
【シャムロックヒル】評価B 騎手A+
4歳馬。今年の6月に阪神芝2000m(内)のマーメイドSをハンデ50キロで10番人気ながらV。良発表でも少し渋った馬場、1番枠から主張してハナへ。道中は負担がかからないペース。直線で飲み込まれそうな感じになったが、そこからが渋太く、なかなか抜かさせずに最後はクラヴェルの追撃を抑えて勝ち切った。夏のクイーンSは別定の55キロ。大外11番枠から出していって3番手の外。3コーナーを過ぎると、鞍上の手が激しく動いて下がってしまう。直線で盛り返す感じで少し脚を使っていて、バテたというわけでもなかった。その後は放牧に出され、栗東に戻ってからCWコースで意欲的な調整ぶり。1週前にはジョッキー騎乗でしっかりと追われ、65秒台-11秒台をマーク。今週は大きめにとどめ、時計は70秒台-12秒級だった。ノビノビと走っていて、デキは良さそうだ。速い脚はないが、スタミナと持久力に富んだタイプ。阪神の内回りコースは、2200mを含めて2戦2勝である。GIで56キロでは楽でないが、バラけた好位でソツなく立ち回ると、見せ場はつくってくるだろう。押しが利くかとなると、簡単ではないだろう。騎乗する団野大成は若手の実力派で、同馬で2勝。
【ステラリア】評価A- 騎手S
3歳馬。春に阪神芝2000m(内)で忘れな草賞をV。中位で軽く抑えるぐらいの追走になり、直線は外めからしっかりと伸びて差し切った。1分58秒0(良)と勝ち時計が速いが、レコード決着になった桜花賞と同じ日で、高速馬場の中でのものである。オークスは13着。大外18番枠から流れに乗せようとしたが、2番手まで行って掛かってしまった。失速したのも致し方ない。夏場は休ませ、秋はぶっつけで秋華賞。攻めは大きめが中心で、実が入っていなかったのだろう。実戦ではヨレてスタートでうまく出られず、後方でタメてジッとして動かない。直線で少し外に出し、ジリジリと伸びて0秒5差の6着に上がった。中間は栗東のCWコースで意欲的な調整ぶり。1週前は追走する形から早めに内に併せ、直線は楽な感じのまま力強く引き離した。時計は66秒台-11秒台だった。今週は大きく追いかけて気持ちが入った走り。直線で内から追いつき、余裕ある手応えで同入している。時計は65秒級-11秒台だった。前走時より速い時計が出ていて、調教後の馬体重は前走比8キロ増の498キロ。叩いた分の上積みは大きそうだ。父はキズナで、母の父はモティヴェイター(Motivator)。モティヴェイターは英ダービー勝ち馬で、その父は仏ダービー、愛ダービー、凱旋門賞を勝ったモンジュー(Montjeu)である。また、BMSがモティヴェイターというのは、先に菊花賞と逃げ切ったタイトルホルダーと同じだ。強くはない体質を考えると軽い馬場の方がいいが、しっかりと攻められている状況ならタフな芝で走れるかもしれない。内回りの2200mも問題ないだろう。ヤネはガッツリと追ってくる松山弘平に強化。54キロの斤量利は大きいし、侮れないムードだ。
【ソフトフルート】評価B 騎手A-
4歳馬。3歳の秋に2勝クラスを圧勝して秋華賞に挑戦。大きくアオッて最後方から。4コーナーで上がっていくときに外に弾かれ、かなり外を回る形に。それでも直線で長くしっかりと脚を使って0秒3差の3着に伸びた。続くエリザベス女王杯は6着。中位の前でスムーズな立ち回りができ、直線は伸びてはいても切れ負けしたといった内容だった。上位3頭は強く、4着のウインマリリンとは3/4馬身+クビの小差だった。4歳になって、春に中京で外から力強く差し切って3勝クラスをクリア。マーメイドS(ハンデ54キロ)は1番人気で8着に終わったが、少し気分良く行かせすぎたか。秋緒戦は新潟牝馬Sを使って2着。スタートでヨレ、無理せずじっくりとタメる競馬に。直線で外に出し、渋太く伸びて2着に上がっている。体は増えていたし、確実に成長している感じだ。中2週とレース間隔は詰まっていて、攻めは栗東CWコースで2本。1週前は終い重点でラスト1ハロンが11秒台。今週は追走して内に併せ、直線で軽くうながして先着している。時計は68秒級-12秒だった。疲れはないとみていいだろう。軽い馬場の方が切れるが、少しタフな状態でも結果を出している。タメを利かせれば終いは確実。56キロは影響するかもしれない。型にハマるとあるいは。
【デゼル】評価B 騎手B
4歳馬。母は仏オークス(芝2100m)、仏1000ギニー(芝1600m)と、GIを2勝。3歳デビューで2戦目にリステッド競走を勝ち、オークスは2番人気になって11着に終わっている。4歳になって、春に3勝クラスと阪神牝馬Sを外から差し切る競馬で連勝。ヴィクトリアマイルは外からジリジリと詰め、8着でも2着とは0秒2差だった。走りのバランスはひと息で、上積みのない状態だったのだろう。夏場は休ませ、秋は府中牝馬Sから始動して16着。陣営が「急仕上げ気味」という状態で、17番枠から好位に上がって少し気持ち良く走り、4コーナーで反応がなくなっていた。その後は栗東で意欲的な調整ぶり。1週前にジョッキー騎乗でCWコースで追われ、3頭併せの内からで65秒台-11秒台をマークしている。日曜もCWで終いにやられた。本追い切りは、坂路でダービー馬マカヒキとの併せ馬。相手は馬なりで、こちらは一杯に追われて食らいついた。時計は52秒9-12秒9だった。使った分の上乗せは大きそうだ。2200mは長い印象だが、丁寧にタメて末を残せば伸びてきておかしくない。56キロの分は少し心配だが、いい脚を持っているので怖さはある。
【テルツェット】評価A- 騎手A+
4歳馬。2代母の仔にラヴズオンリーユー(オークス、クイーンエリザベスII世カップ(香港)、BCフィリー&メアターフ(米))。4代母が米、英、仏でGIを計10勝したミエスク(Miesque)。3歳の秋から休養を挟みつつ条件級を3連勝した。4歳の春にダービー卿チャレンジTに挑戦。スタートでトモが入らずに置かれたが、3コーナーを過ぎて外を追い上げ、直線で力強く抜け出して快勝している。しかも、ゴールした時に余力が残っていた。これで4連勝である。続くヴィクトリアマイルは後方のインで抑えつつの追走になり、直線は伸びずに14着に終わった。夏は函館芝1800mのクイーンS。ルメールが手綱を取って丁寧に脚をタメ、直線で馬群を割ってグイグイ伸びて差し切った。これもダービー卿チャレンジTの時と同じで、ゴール板を過ぎてスタミナが残っていた。その後は放牧に出され、美浦に戻ってからはウッドコースを中心に乗り込んできた。1週前はジョッキー騎乗で終い重点の併せ馬。追われてラスト1ハロン11秒7で先着した。今週は大外を回って71秒3-12秒5と大きめのメニュー。直線はバネのある走りを見せ、体もふっくらとしていた。420キロ台で小ぶりだが、いい瞬発力とスタミナがあり、パワーも感じさせる。前走の感じなら、56キロも克服できそうだ。初となる阪神には対応できるはずで、少し気のいいところがあるので折り合いがポイントになる。あと、長距離輸送で体が減らないといい。厳しい条件ではあるが、まだ奥がありそうで、警戒が必要になる。
【ムジカ】評価B 騎手B
4歳馬。3歳の秋にローズSで馬群を割って伸びて2着に好走している。続く秋華賞はゲートでアオッて後方から。4コーナーでゴチャつくシーンがあり、直線で大きく外に動かすという雑な競馬になった。それでも直線で脚を使って8着にはきた(4コーナーは15番手)。4歳になって、春に福島牝馬S(新潟芝1800m(外))で0秒2差の5着。直線で外からラチに押し込められる不利があり、引いて追い直してから脚を使っていた。秋2戦目の新潟牝馬Sは、後方から伸びて2着とアタマ差の3着だった。3勝クラスで勝ち切れないが、オープンや重賞でも相手なりに応戦してくる。中2週のレース間隔で、速めの時計は今週の1本。坂路(栗東)に入れ、終いに強めに追われて53秒2-12秒4をマークした。動きはしっかりしていた。ゆったりとした跳びで長めの距離は合う。56キロでも走れて良さそうだ。メンバーは強力だが、紛れがあれば。
【ランブリングアレー】評価A- 騎手A-
5歳馬。4歳の秋に京都芝1800m(外)で牡馬を相手にリステッド競走を勝っている。4歳になって、春に愛知杯(ハンデ54キロ)でクビ差の2着に好走。中位馬群でなだめつつ脚をタメ、直線で割って伸びて先頭に躍り出る。最後は甘くなってマジックキャッスルに交わされたが、3着に3馬身の差をつけていた。次走の中山牝馬Sは劣悪な不良馬場、ハンデが55キロ。中位の外を進んで泥はかぶらず、直線で外を伸ばす形に。自身も苦しくて大変だったが、前が止まったことで差が詰まって差し切る結果となった(レースのラスト1ハロンは14秒4)。ヴィクトリアマイルは一転して高速馬場で、10番人気と評価は低かった。後方のインでなだめて脚をタメる競馬に。直線はスペースができず、少し待ってから外に動かす。追われてからしっかりと伸びて2着に上がった。夏場は休ませ、秋緒戦はオールカマー。中位の前につけ、行きたがるのをなだめつつ追走に。3コーナー前からは外が動いて馬群に入る形になった。動きづらそうで、戸崎圭太は手綱を抑えたまま。戸崎のいつも捌き下手が出たかと思ったが、仕掛ける気もなかったか。直線に向いてから追い出し、ジリジリと伸びて0秒6差の7着で入線している。中間は栗東のCWコースと坂路で熱心な調整ぶり。もともと時計の出るタイプで、2週前、1週前とCWで65秒級で追われている。今週はCWに入れて楽に4ハロン51秒台-12秒3。前向きに気持ち良さげに走っていたし、体も充実している。叩いた上積みは少なくない。56キロはこなせそうで、問題は折り合い。オールカマーは今回に向けての試走とも思える乗り方だったので、これが勉強になっているといい。馬体や血統からは2200mに適性があるはずで、道中で息が入れば末脚を繰り出してきそうだ。
【リュヌルージュ】評価C 騎手B
6歳馬。古い話になるが、3歳時に忘れな草賞でハナ差の2着に駆けている。5歳になって、2月に2勝クラスを勝ち、次走で中山牝馬Sに挑戦した。馬場は不良、ハンデは50キロ。2番手を追走して直線で先頭に並び、粘り強さを発揮して3/4馬身差の2着に残った(勝ち馬フェアリーポルカ)。6月のマーメイドSはハンデが53キロ。中位のインを進み、直線で内めを渋太く伸びて3着に上がっている。秋にはエリザベス女王杯を使って12着。タテ長の展開の中位を進み、直線は目立つ伸びなし。ただ、バテているわけではなく、切れ味で負けていた。4着ウインマリリンと0秒6差で、大敗ということでもない。6歳になって結果が出ていないが、春の大阪-ハンブルグカップ(ハンデ52キロ)は道中で力むところがありながら直線で追い比べに加わろうかという場面があった(9着)。秋緒戦の新潟牝馬Sでは初めてチークピーシズを着用。逃げて少し気持ち良く走り、直線はジリ貧という下がり方だった。中2週になり、速い時計は今週の1本。ジョッキー騎乗で芝コースに入れ、新馬と併せた。外で並んで手応え良くキビキビとした動き。時計は65秒台-11秒台だった。叩いて順当に上向いている。今回もチークピーシズを着用する予定。ロザムールを行かせて2番手の競馬になるか、それともハナを奪うか…。スタミナはあり、後続の仕掛けが遅くなれば見せ場はつくってくるかもしれない。荒れ気味の馬場もプラスになる。ただ、やはり決め手では劣勢で、上位となると難しそう。
【レイパパレ】評価A+ 騎手S
4歳馬。3歳の1月に新馬を勝ち、そこから連勝を続ける。12月のチャレンジカップでは、2番手追走で力むところがあったが、4コーナーで先頭に並び、直線で渋太く脚を使って牡馬をしりぞけた。4歳なって春に大阪杯に挑戦、馬場は重。モタれてゲートはうまく出られず、二の脚がついてハナへ。道悪を苦にすることなく、気持ち良さそうに逃げる。4コーナーで後ろからグランアレグリア(4着)とコントレイル(3着)が動いてきたが、手応えは優勢。直線に向いて川田将雅が内を避けて外に動かし、しっかりと脚を使って4馬身差で快勝した。無傷の6連勝でのGI制覇となった。続く宝塚記念はユニコーンライオンを行かせて2番手から。道中はずっと少し力んで走っていた。直線で先頭に出たが、抜け出す余力はなし。クロノジェネシスに交わされ、最後はユニコーンライオンに差し返されて3着に終わった(2着とはクビ差)。秋緒戦は中山のオールカマー。10キロ増の442キロと、馬体が増えていたのは良かった。実戦はロザムールを行かせて2番手の追走。宝塚記念の時と同様に力みがあった。4コーナーではグローリーヴェイズがプレッシャーをかけてきて、早めに先頭に立つ形に。直線は残り150mまで頑張っていたが、最後は4着に落ちた。その後は放牧に出され、10月21日に栗東に帰厩。そこから坂路でこれまでよりもハードに乗られてきた。1週前には終いにしっかりと追われて53秒0-12秒5で先着。日曜にも55秒6-12秒4を乗られている。本追い切りはルメールが跨ってライトウォーリア(オープン)と併せ馬。追走して並んでからの感触が良く、最後は強めに追われて先着した。雨が残った馬場の中、52秒9-12秒5で動けば十分である。馬体も充実している感じだ。荒れた馬場はまったく苦にしないし、56キロは宝塚記念で経験している。やはりポイントは折り合い。あと、トモが入り切らないところがあるので、スタートをうまく出したい。そういう面からすると、ルメールというのは間違いなく適任者である。ロザムールとリュヌルージュが主張しそうで、好位で慎重に運ぶような競馬になるだろう。後続も同馬を意識はするだろうが、早くかぶせていくと自身が苦しくなりかねない。古馬のGIを勝っている唯一の存在。息が入ってスムーズなら戴冠まである。
【ロザムール】評価C 騎手A-
5歳馬。4歳だった昨年の12月に中山で3勝クラスをクリア。明けて5歳緒戦が中山金杯(ハンデ52キロ)で、ペースを落として逃げて4着に粘っている。春の中山牝馬S(ハンデ52キロ)は不良馬場の中を逃げ、4コーナーで並ばれる厳しい展開に。それでも一旦は後ろを少し離し、苦しくなりながらもハナ差の2着に残った(勝ち馬ランブリングアレー)。夏口は七夕賞(ハンデ53キロ)を使って2着に好走した。自分の競馬はできたが、2番手にいたのが力のある牡馬トーラスジェミニ(57キロ)。4コーナーで並ばれ、直線で1馬身ほど前に出られたが、最後まで渋太く抵抗してクビ差に踏ん張った。秋緒戦はオールカマー、2200mは初めて。外の15番枠からハナを奪い、道中は軽く抱えるぐらいの手応えだった。4コーナーでレイパパレに楽に並ばれ、直線ですぐに交わされる。それでもバタッとは止まらず、残り200mを過ぎるぐらいまで自身なりに頑張っていた。最後は脚が上がって10着に終わった。その後は美浦に在厩して乗り込んできた。1週前はウッドコースで大きく前を追いかける形。直線は気の悪さを見せ、併せ馬にならなかった。今週は単走で大外を回る形に。頭の高いフォームだったが、最後までしっかりと動いていた。時計は66秒8-12秒0だった。陣営は逃げ宣言。リュヌルージュとの兼ね合いがどうなるか。あと、レイパパレの折り合いと動き方がポイントになる。自分の競馬ができれば渋太く、荒れた馬場は問題にしない。恵まれればというところはあるが、GIではそれが叶うかは…。
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クロノジェネシスとラヴズオンリーユーが不在。GI馬はレイパパレとアカイトリノムスメの2頭のみである。また、56キロで走った経験のある馬が3頭しかいない。
レースはロザムールとリュヌルージュのどちらかがハナへ。その後ろにシャムロックヒル、レイパパレが続くことになるだろう。ジョッキーたちはタフな馬場のことを考えないといけないし、隊列、ペース、バラけ方は流動的である。
後半の先行勢の動き、後続の仕掛けるタイミングも読みづらい。内回りの牝馬の戦いは、駆け引きがあって見応えあるものになりそうだ。
スタミナとパワーを持ち合わせ、血統面でも魅力がある伏兵馬2騎を狙うことにした。
◎は宗像義忠厩舎(美浦)の4歳馬ウインキートス。詳しい解説は全頭診断にある通りで、岡田一族が育てた馬らしく、力比べ、消耗戦に強い。目黒記念とオールカマーの走りから、牝馬のGIでも十分に通用するはずだ。
はち切れそうな馬体で素晴らしく充実していて、攻めで豪快に動いた。問題はこのデキをキープできるか。中山でも輸送で減らしてしまうところがあって、今回は初となる関西圏への輸送である。陣営も対策は取っているようで、当日に大きく減っていないといい。
外の15番枠を引いたが、丹内祐次は同馬を手の内に入れていて、うまく流れに乗せて脚をタメるような騎乗をしてくるだろう。上りのかかる競馬になりそうで、渋太さ比べでの浮上に期待したい。
もう一頭の注目したい伏兵馬が斉藤崇史厩舎(栗東)の3歳馬ステラリアである。こちらも詳しくは全頭診断まで。まだ完全に固まっていない段階だが、豊富なスタミナを持っていそうな母系で、スムーズさを欠いて6着だった秋華賞を叩いて攻めを強化してきた。
同時にヤネも松山弘平に強化。調教後の馬体重で前走比8キロ増だったのは充実している証で、こちらも◎と同様に輸送で体が大きく減らないといい。54キロで走れるのは有利だし、穴を開けるシーンがあっても。
▲にはまったく人気のないイズジョーノキセキを置いてみた。3勝クラスからの挑戦では常識的には厳しいが、この馬は何か隠し持っている。ヤネは考えて乗ってくる和田竜二で、課題である折り合いがつくと大激走も。
△レイパパレはルメールとの相性が非常に良さそう。馬体が増えて体質が強くなってきたし、リズム良く走ることができれば大阪杯に続いて2つ目のGIタイトル奪取がある。
※アカイトリノムスメは母アパパネが成し得なかったエリザベス女王杯制覇に挑む。激戦だった秋華賞を勝ち、美浦に戻って中3週で再遠征。攻めは動いていて、目に見えない疲れが残っていないかだ。
以下はテルツェット、ランブリングアレー、ウインマリリンなど。
タフな馬場の中、タテ長で難しい競馬になる可能性あり。◎と○は伏兵馬で、連勝式は手を広げて買っていきたい。
◎15番ウインキートス
○5番ステラリア
▲4番イズジョーノキセキ
△1番レイパパレ
※3番アカイトリノムスメ
×8番テルツェット
×6番ランブリングアレー
×9番ウインマリリン
×11番ソフトフルート
【単勝】15番(10%)・5番(10%)
【複勝】15番(50%)・5番(30%)
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【馬連&ワイド】(ながし)
15→全通り
5→全通り
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【3連複】(軸2頭ながし)
5.15→全通り(15点)
4.15→全通り(15点)
4.5→全通り(15点)
1.15→全通り(15点)
1.5→全通り(15点)
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【3連単】(軸2頭マルチ)
15.5→全通り(90点)
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福島11R
福島記念(GIII) 11月14日(日) エリ女に似た状況?
福島の芝2000mで争われるGIII競走。
4コーナー奥の引き込み線からのスタート、コーナーを4つ回る。1回目にゴール板を通過してから2コーナーにかけてなだらかな下り坂。向正面には上り坂がある。4コーナーから直線残り170m付近までは緩めの下り坂で、そこから残り50mまでが上り坂になっている。直線距離は292.0m(Aコース使用時)。
芝は開催の2週目で、Aコース使用2週目になっている。土曜は良発表でも少し水を含んだ状態だったが、それにしても時計がかかっていた。ペースが緩んで先行馬が粘り込む競馬があったが、レースが流れて外からの追い込みが決まるケースもあった。気温が下がってきている福島での開催…。芝は使うごとに傷んでしまうのかもしれない。
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以下、全頭診断と騎手評価(50音順)。全頭診断は相対評価、騎手評価は絶対評価で、騎手評価は騎乗馬との相性を考慮する場合がある。
【アラタ】評価A+ 騎手A-
今年の春から休養を挟んで4連勝。夏の函館芝2000mでの3勝クラス勝ちは、レースが流れた中で外を動き、早めに先頭に立って押し切る強さだった。1分59秒3(良)の勝ち時計も評価できる。続いて中京芝2000mのオープン特別を重馬場の中でV。好位の後ろの馬群の中で追走ぶりが良く、直線で追われると長く渋太く伸びて差し切った。その後は放牧に出され、美浦に戻ってからはウッドコースを中心に熱心な調整ぶり。1週前にはメイショウムラクモ(3歳オープン)と併せて同入した。今週も併せ馬を行い、終いに少し気合をつけられて同入。時計は66秒6-11秒8だった。動きは良く、いい仕上がりにありそうだ。追われて少し頭が高くなるところがあり、まだ完成はされていないのだろう。その分が奥の深さを感じさせる。初の福島には問題なく対応できるだろう。ハンデは2キロ増えて56キロになり、メンバーも強化される。条件は楽でないが、4連勝中の4歳馬の勢いは軽くは見られない。大野拓弥は同馬を完全につかんでいる。
【ヴァンケドミンゴ】評価A- 騎手A-
祖母がオークス馬ウメノファイバー。4歳だった昨年は、夏に今回と同じ舞台の七夕賞をハンデ54キロで3着。秋はカシオペアSで3着に駆け、中1週で当レースに挑んでハンデ55キロで外から伸びてクビ差の2着に好走した。今年の秋も臨戦は昨年と一緒。カシオペアSは斤量が57キロで、荒れ気味だった馬場の内から脚を使って2着している(クビ差)。中1週でも栗東のCWコースで併せ馬を敢行(ジョッキー騎乗)。追いかけて内から並び、追われて先着した。時計は65秒台-12秒級。動きは少し重たいが、もともと攻めは地味なタイプである。今年はハンデが昨年から1キロ増えて56キロになるが、問題にはならないだろう。(4.1.1.1)のコース巧者、酒井学は同馬に乗って(1.2.2.1)。外を回す競馬が多いが、前走のことがあるので、状況次第で内を狙うかもしれない。タイミング良く動けると上位争いが可能になる。
【エフェクトオン】評価B 騎手B
ジワジワと地力を底上げし、5歳になった今年の夏口に福島芝2000mで3勝クラスをクリア。後方でじっくりと脚をタメ、直線はラチ沿いをスルスルと伸びて勝ち切った。ハンデは54キロと軽かった。初の重賞挑戦となった新潟記念は、ハンデが53キロ。外差しが決まる競馬の中で内めを伸ばし、0秒5差の8着で入線したから悪い走りではない。今回は2ヵ月半ぶりの実戦。美浦のウッドコースで乗り込み、時計になるところを6本乗っている。そのすべてで、ラスト1ハロンが11秒台だった。今週はサンダーブリッツ(オープン)と併せ、大きく先行する形から楽に先着。時計は66秒8-11秒8だった。これだけやれているのは、充実している証明になる。ハンデは引き続き53キロ。3勝クラスを勝った時のような決め打ち的な騎乗をするとハマる可能性がある。亀田温心は3年目で甘さのあるジョッキー。
【ココロノトウダイ】評価A+ 騎手A-
当レースに出走するフェアリーポルカの弟。3歳時は2月に共同通信杯で5着に駆け、夏に福島芝2000mで2勝クラスをV。秋にやはり福島芝2000mで3勝クラスを勝った。4歳になって年初の中山金杯を53キロのハンデでクビ差の2着。インの追走で少し行きたがっていたが、直線は勝ち馬ヒシイグアスの内に併せる形でしっかりと伸びた。前走は骨折明けで9ヵ月半ぶりの実戦。別定の57キロ、好位からで正攻法の競馬になり、直線は内にモタれて伸びを欠いた(9着)。中間は順調に乗り込み、今週はウッドコースで単走追い。大外を通り、終いに気合をつけられて推進力ある走りを見せた。時計は69秒2-11秒5だった。叩いた上積みを見込んでいい。ハンデは55キロと手頃。(3.1.0.0)と得意とする福島で脚をタメる競馬をすれば、しっかりと末を伸ばしてくるくるだろう。これまでの10戦はすべて丸山元気が手綱を取っている。重賞制覇のチャンスあり。
【コントラチェック】評価B 騎手B
5歳の牝馬。3歳時にフラワーカップ(中山芝1800m)とターコイズS(中山芝1600m)を逃げ切ってV。5歳になって春に中山芝1200mでオーシャンSを好位からの競馬で勝ち切っている。前走の京成杯オータムH(中山芝1600m)はスイスイと飛ばして逃げて1000mのラップが56秒8。1400mの通過は1分19秒6で、さすがに脚が上がって差し込まれた。それでも着差はクビである。美浦での調整は意欲十分。2週前にウッドコースで65秒9で追われ、1週前はウッドで65秒4。今週は追走する形で抑えたまま内から並び、最後も抑えたままで相手を煽る動きを見せた。時計は66秒2-11秒7だった。明らかにスタミナ強化を意識したハードなメニューである。ハンデは前走と同じで55.5キロ。初めて2000mを使うことになるが、折り合い重視で運ぶのは当然で、ハナにはこだわらないかもしれない。1200mのオーシャンSでも力んでいたので、息を入れられるか微妙ではある。スピード能力に関しては完全に上位。嚙み合えば馬券に残ることもあるだろう。北村宏司はテン乗りになるが、中間に稽古をつけてきた。
【ゴールドギア】評価B 騎手C
3代母がオークス馬アドラーブル。5歳だった昨年の春に目黒記念(東京芝2500m)を5着。直線は内でうまく捌けず、上位もあった内容だった。6歳になった今年の春に東京芝2400mでリステッド競走を差し切ってV。続く目黒記念では、上がりの速い競馬の中で外を動いて5着に食い下がっている。秋緒戦のオールカマーは11着。ダッシュがつかずに置かれる形になり、直線はジリジリと脚を使った程度だった。中間の乗り込みは順調。1週前にはウッドコースで3頭併せの外を進み、直線で追われて66秒8-12秒0で同入した(ジョッキー騎乗)。今週もジョッキー騎乗の併せ馬で、68秒0-12秒7で先着。1週前も今週もズブさを見せていたが、しっかりやれていればいい。ハンデは55キロで問題なし。福島は初めて、ハイペース見込みの2000mだと置かれることになるだろう。上がりがかかり、時計自体も少し要してくれないと…。初めて着けるブリンカーが効いてくれるといい。
【サトノエルドール】評価B 騎手A-
5歳になった今年の春に初めてブリンカーを着用。中山芝2000mの3勝クラスを早めに動く競馬で勝ち切った。続く新潟大賞典は大きな見せ場なく10着。夏は函館芝1800mでオープンの巴賞を勝ち、函館記念はハンデ56キロで直線で一旦は2番手に上がっての5着だった(2着とタイム差なし)。秋緒戦のオクトーバーS(L)は17着。大外18番枠からのスタート、外の追走で力み気味になっては伸びがなくて当然である。中間は美浦でウッドコースを中心に熱心な残り込み。1週前には3頭併せの内を通って無理はせずに66秒1-11秒8。今週は追走する形で内から追いつき、終いに軽く気合をつけて同入した。時計は65秒4-11秒9と見た目の印象以上に速く、仕上がりは良さそうだ。ハンデは56キロで問題ない。ヤネは3勝クラスを勝った時に跨っていた横山和生。ゲートが良くないし、少し雑な競馬になりがちだが、重賞でも脚力は通用する。折り合って進めるかどうかだ。
【ステイフーリッシュ】評価B 騎手A+
6歳の実力馬。デビュー2戦目にGIのホープフルSで3着。3歳の春に京都新聞杯(GII)を勝った。4歳時に福島記念を走り、57.5キロのハンデでクレッシェンドラヴの2着に駆けている。6歳になった今年の2月には京都記念で2着。2番手追走から早めの競馬で直線で少し引き離し、ラヴズオンリーユーに交わされながらも連対を守った。夏の札幌記念は心房細動で競走中止。秋のオールカマーは大外16番枠から出ての5着で、中1週で使った京都大賞典は直線で伸びを欠いて7着だった。中間は栗東で順調に調整。1週前のCWコース追いでは、ジョッキー騎乗で中ほどを通り、気持ち良く飛ばす感じで64秒台をマークした。今週は坂路の併せ馬。追われてモタついて遅れ、時計は52秒2-12秒4だった。目立ちはしなかったが、しっかりやれているから大丈夫だろう。切れる脚がないが、地力はGIIIで上位。ただ、トップハンデの57.5キロ、ハイペースになりそうで展開的には楽でない。軽視はできないが、崩れるケースがあり得るので強くも推せないといった感じである。坂井瑠星はテン乗りになるが、強くしっかりと追ってくる若手。攻めで跨っていて、感触はつかんでいるだろう。
【ディアンドル】評価B 騎手A+
デビュー2戦目から芝1200mで5連勝。4歳の秋から距離を延ばし、5歳の2月に小倉大賞典(芝1800m)で3着。次走の新潟芝1800m(外)で行われた福島牝馬Sを逃げて渋太く押し切り、GIのヴィクトリアマイルでは控える形から2着とクビ+クビ差の4着に応戦した。夏の中京記念(小倉芝1800m)は逃げて末をなくして8着。GIのあとだっただけに致し方ない面がある。今回は4ヵ月ぶりの実戦。いつも通り栗東の坂路で乗り込み、2週前が54秒1、1週前が54秒4だった。今週は併せ馬で同入して、時計は53秒5-37秒5-12秒5。動きは軽く、デキの良さがうかがえる。55キロは自身は問題としない数字。先行タイプが多いメンバーで、好位あたりからの競馬になるだろう。レースが流れて折り合えたとしても、2000mは少し長い印象で…。
【バイオスパーク】評価A- 騎手B
5歳だった昨年の夏に函館記念で3着(ハンデ55キロ)。同年の秋に福島記念を制覇した。ハンデは55キロ、中位のインで抱えるぐらいの手応え。直線で少し外に出し、しっかりと伸びて勝ち切るという内容だった。今年は夏に函館記念(ハンデ57キロ)で2着とハナ差の3着。続く札幌記念は、スタートして手綱の一部がハミに絡まり、競走中止になった。その後は放牧に出され、栗東に戻ってからは意欲的な調整ぶり。2週前に坂路で52秒0で追われ、1週前はCWコースで楽に67秒級-12秒台。今週は坂路で55秒5-13秒4と大きめで済ませた。体つき、動きは良く、、陣営は「申し分ない状態」と話している。昨年より2キロ重たくなるが、57キロのハンデで走れることは証明済み。スパッとは切れないものの、根性を出して粘り強く応戦するタイプ。テン乗りの泉谷楓真が慌てずにうまく誘導できるかがポイントになるが、スムーズに運ぶと上位浮上があっても。
【パンサラッサ】評価A+ 騎手B
3歳時は、夏にラジオNIKKEI賞で2着(ハンデ54キロ)、秋にオクトーバーSで2着。4歳になって2月に小倉の関門橋Sを好位追走から早めに抜け出す競馬で2着し、続く中山記念は出遅れて外を回る形になりながらジリジリと脚を使って0秒8差の7着とまずまずの走りを見せた。今年のオクトーバーSは、約半年ぶりの実戦。2番枠からハナを奪ってスイスイと離して逃げ、最後で鈍りながらアタマ差で粘り込んだ。ゴールしたあとは、またスッと脚を使っている。無酸素運動の限界がきたもので、スタミナが切れたわけではなかった。中間は栗東の坂路で順調な乗り込み。1週前に51秒1-12秒7でしっかりと追われている。今週はサッという感じだったが、それでも52秒9-12秒2が出た。軽い走りで、疲れもなく元気いっぱいだ。ハンデは56キロで、斤量は前走と同じ数字。菱田裕二は関門橋Sで跨っていて、2度目の騎乗になる。コントラチェックとディアンドルの動きが鍵になるが、ハナは譲らないか。自身は好位からでも競馬ができる。他に行かれた場合、菱田には冷静に対処してもらいたい。スピードは十分、スタミナと粘り強さも十分。自分のリズムで走れれば勝ち負けになる。
【ヒュミドール】評価A+ 騎手B
昨秋の東京芝1800mでの3勝クラス勝ちが馬群を割って突き抜ける強い競馬。その後の3走は長距離重賞で5着、5着、4着。5歳になって夏に小倉記念をハンデ55キロで2着。外で抑える形でコースロスがあったが、直線で外からしっかりと伸びた。さらに後ろでタメていた53キロのモズナガレボシに差された。前走の京都大賞典は10着。中位のインで追走ぶりは良かったが、直線は狭くなるシーンもあり、ジリジリとで目立つ脚は使えなかった。中間は美浦で順調な乗り込み。1週前にウッドコースで外を回って65秒7-11秒9の好時計が出ている。今週は大めを乗って終いに気合をつけ、しっかりと伸びてラスト1ハロン11秒3をマークした。前走で馬体を減らしたが、細くは映らない。ハンデは据え置きの55キロ。福島で勝ったのは2勝クラスの芝2600m戦で、2000mで今回のメンバーだとレースが流れて忙しくなるかもしれない。ただ、気持ち良く行くようなところを見せることがあり、折り合って脚をタメられると理想的である。力自体は通用するし、末を伸ばしてくるシーンがあっていい。
【フェアリーポルカ】評価B 騎手B
ココロノトウダイの1つ上の姉。3歳時に紫苑Sでハナ差の2着。4歳の春には中山牝馬S、福島牝馬Sと重賞を連勝している。5歳になった今年2月の小倉大賞典で久しぶりに牡馬と手合わせし、結果は0秒5差の8着だった。前走のクイーンSは56キロの斤量で強気の運び。直線で先頭に立ち、最後は鈍って4着に終わった。栗東に入厩してからは入念に乗り込んできた。2週前には坂路でジェネティクス(オープン)と併せて52秒9-12秒3で楽な手応えで同入。1週前にはCWコースで64秒級-12秒台の好時計をマークしている。今週は坂路で終いに強めに追われて、時計は55秒8-12秒6だった。大型牝馬だが、きっちりと仕上がっている感じだ。55キロは問題なく、2000mの距離にも対応できる。牡馬相手でタフな競馬になりそうだが、自在性があり、無理せずタメてタイミング良く動くと食い込むシーンも。
【ブラヴァス】評価B 騎手A+
ヴィクトリアマイルを連覇したヴィルシーナの仔、祖母の仔にシュヴァルグラン(ジャパンカップ)。4歳だった昨年に重だった七夕賞(福島芝2000m)で2着。次走で新潟記念を外から差し切って勝利し、12月のチャレンジカップではレイパパレの2着に駆けた。5歳になった今年の春は3戦して、いずれも凡退。鳴尾記念は良発表でも水を含んでいて、すべて馬場が悪かった。今回は5ヵ月ぶりの実戦。栗東に戻って10月3日が初時計で、その後はしっかりと乗り込んできた。3週前にはCWコースでユーキャンスマイル(オープン)と併せ馬。2週前にCWで中を通って65秒級-12秒級が出ている。今週はポリトラックで大外を通って67秒級-11秒台という調整で、動きはキビキビしていた。障害練習を取り入れているし、仕上がりは良さそうだ。ハンデは57キロで、楽ではない数字。福島は合うコースだし、しっかりとタメて末を活かす競馬ができれば浮上するシーンも。岩田康誠はテン乗りになり、稽古には跨っている。
【マイネルファンロン】評価B 騎手A-
オークス馬ユーバーレーベンの兄。4歳だった一昨年の夏に函館記念でクビ差の2着。2番手追走から直線で先頭に出て、マイスタイルに差し返された。力んで走ってしまうのが課題だったが、今年の夏の新潟記念では出負けしたこともあって後方で抑えつつ末を残す競馬に。直線は外に動かし、外ラチ沿いまで行きながらしっかりと伸びて差し切った。続く毎日王冠もタメる競馬をしたが、行きたがって息が入らず、直線で脚は使えなかった。中間もウッドコースを中心に熱心な乗り込み。1週前にはエリザベス女王杯に出走するウインマリリンと併せ、67秒8-12秒1の時計で楽に先着している。今週は単走で67秒5-12秒0をマーク。前進気勢があり、使い込んでいても落ちていることはなさそうだ。福島コースで3戦していて、福島記念は一昨年が16着、昨年が15着。ただ、リステッド競走で早め先頭から5着したことがあって、適性がないということはない。ハンデは56キロで問題なし。難しい馬だが、レースが流れて折り合いがつくと浮上する可能性も。
【モズナガレボシ】評価A- 騎手A+
3歳だった昨年の秋から3連勝。3勝クラスでは3着、2着、5着、3着という戦績だった。夏に中1週で小倉記念に挑戦、ハンデは53キロ。無理せず脚をタメ、直線入り口で大きく外に動かしていく。外差しが利く馬場の中でグイグイと伸び、ヒュミドールを交わして重賞制覇を決めた。今回は3ヵ月ぶりの実戦。栗東に戻ってからは、ポリトラックを挟み、追い日は坂路としっかりと調整してきた。2週前は52秒8-12秒8、1週前は53秒0-12秒4。今週は楽な感じで53秒8-12秒8で、軽快な動きを見せていた。ハンデは2キロ増えて55キロだが、問題になる数字ではない。機敏なタイプではなく、レースが流れて置かれる形になるかも。それでも、タメていけば後半で脚を使ってくるだろう。西村淳也は若手でも乗れるジョッキー。混戦の中で再度の台頭があっていい。
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芝中距離のハンデ重賞。トップハンデは57.5キロ、最軽量は53キロで、上下差は4.5キロとなっている。
芝は少しタフな状態。パンサラッサがハナを主張しそうだが、他にもコントラチェック、ディアンドルとスピードある先行馬がいる。偶然にもエリザベス女王杯と同じような状況…。どんな隊列、どんなペースになるかは、出てみないとわからないところがある。
和田勇介厩舎(美浦)の4歳馬アラタに◎を打った。目下4連勝中。ケフェウスSはハンデ54キロでクビ差の勝利だったが、スローの分があり、完勝と言える内容だった。
美浦のウッドコースでハードに乗られていて、引き続き充実した気配。一気に2キロ増やされてハンデが56キロになったが、それでも重賞でも互角に戦えそうだ。初の福島にも問題なく対応できるはず。大野拓弥は同馬を完全につかんでいる。
小手川準厩舎(美浦)の5歳セン馬ヒュミドールも注目される存在。夏に小倉記念で小回りの2000mを使ったが、外々を追走する競馬になりながら直線でグイグイ伸びて2着に好走した。
こちらも美浦ウッドコースでの動きが目立っていて、いいデキにあるのは間違いない。小倉記念と同じで55キロで、ハンデからするとこちらが優位とも思える。うまくハマれば頭で来るシーンまで。
▲はパンサラッサ。展開がポイントになるが、渋太さは特筆ものである。急仕上げ気味だったオクトーバーSを逃げ切り、中間は栗東の坂路で強い負荷をかけられてきた。前走と同じ56キロで走れるのは大きい。
△は昨年に当レースを制しているバイオスパーク(57キロ)で、※は叩き2戦目で大きく変わる可能性がある福島巧者ココロノトウダイ(55キロ)。
以下、ヴァンケドミンゴ、モズナガレボシ、エフェクトオンなど、警戒が必要な勢力が多くいる。
人気は大きく割れていて、連勝式は高配当期待で手広く買っていきたい。
◎10番アラタ
○12番ヒュミドール
▲8番パンサラッサ
△13番バイオスパーク
※2番ココロノトウダイ
×4番ヴァンケドミンゴ
×7番モズナガレボシ
×11番エフェクトオン
×15番フェアリーポルカ
【単勝】10番(10%)・12番(10%)
【複勝】10番(50%)・12番(30%)
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【馬連&ワイド】(ながし)
10→全通り
12→全通り
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【3連複】(軸2頭ながし)
10.12→全通り(14点)
8.10→全通り(14点)
8.12→全通り(14点)
10.13→全通り(14点)
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【3連単】(軸2頭マルチ)
10.12→全通り(84点)
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3歳馬。母アパパネは牝馬三冠を達成し、エリザベス女王杯は3歳時と4歳時に走って共に3着だった。春はクイーンカップを早めに先頭に並んで渋太く勝利。桜花賞はポジションを取りに行く競馬で、直線はジリジリと脚を使っての4着だった。レコード勝負の中で0秒2差だから中身は濃かった。オークスは馬群の中で折り合い重視でじっくりと。直線はスムーズには捌けず、少しウロウロすることになる。最後は内めを割って2着に上がった。秋華賞はぶっつけ、十分に乗り込んで好仕上がり。タテ長の競馬の中、中位の前の外でスムーズな競馬ができた。直線に向くとしっかりと脚を使い、残り100mで先頭に立って押し切っている。馬場は良でも少し渋っていたし、当日は強い風が吹いて厳しい状況だった。勝ち時計は2分01秒2で、レースのラスト1ハロンは12秒9とかなりかかっている。断言はできないが、結果的にレベルの高くない競馬だったかもしれない。少し休ませてから、美浦でウッドコース中心の乗り込み。1週前は3頭併せの内につけてラスト1ハロンが11秒6、今週は追走して内に併せ、強くは追わずに67秒4-11秒9という時計だった。見えない疲れがあるかもしれないが、順調に乗ってはきた。スパッとは切れないものの、スタミナと持久力があり、根性を出して長く伸びるのが特徴的。このあたりはアパパネとそっくりだ。初の古馬との手合わせといえ、2キロ少ない54キロで走れるのは大きい。荒れてきている阪神の馬場は問題なく、内回りの2200mにも対応可能。戸崎圭太は馬群に入ると捌きが甘いところがあるが、うまく立ち回れば争覇圏にも。
【イズジョーノキセキ】評価B 騎手A+
4歳馬。3歳の春にはチューリップ賞で4着、忘れな草賞で2着。秋に1勝クラスを勝った時には、2着エアロロノア(現オープン)に2馬身の差をつけている。4歳になって、春に阪神の芝2000m(内)で3勝クラスをハナ差の2着。タメる競馬でなだめつつの追走、4コーナーで動きづらくて厳しい情勢だったが、最後は馬群を割って伸びて強襲した。続くマーメイドSはハンデ52キロで7着。やはり少しハミを取るところがあり、直線は弾けなかった。秋緒戦は自己条件で、舞台が阪神の芝1800m(外)、秋華賞と同じ日。インでなだめ、直線で大きく外に動かす形に。追われると、しっかり伸びて2着に上がった。さらに外から差したジェラルディーナは強すぎた。馬場を考えると、1分46秒4(良)の走破時計、33秒7の上がりは優秀な数字である。中間は栗東でじっくりと乗られてきた。1週前にCWコースで66秒台-12秒級。今週は和田竜二が跨ってCWに入れ、追走して内に併せていく。直線は楽な感じで先着し、時計は66秒級-12秒台だった。2200mを走るのは初めて。折り合いがつくかと56キロの克服が鍵になるが、まだ全能力が見えていないところがあり、何か不気味な存在である。噛み合うと一発も。
【ウインキートス】評価A+ 騎手A-
4歳馬。岡田一族。今年の春に3勝クラスをクリアしてオープン入り。日経賞(15着)は3コーナーで外から寄られてラチにぶつかり、あとは鞍上が追わなかった。続いて東京芝2500mで目黒記念をV。ハンデは52キロで、2番手につけて超スローの流れに。直線で少し外に動かして楽に先頭に立ち、追われるとグッと後続を離して快勝した。ラスト2ハロンは10秒6-11秒1という速さで、自身の上がりは32秒5だった。夏の札幌記念は9着。好位の外で走りはスムーズだったが、勝負どころで反応できずに下がってしまった。18キロ増で太かった感じだ。中山のオールカマーは14キロ絞って472キロ。中位のインで脚をタメ、直線に向いてから追い出す。頭が少し高くなり、外に動かす形にもなったが、長くしっかりと伸びて2着に上がった。中間は美浦で意欲的な調整ぶり。1週前にはウッドコースで併せ馬を行い、大外を通る形に。追われるとグイグイ伸びて突き放した。時計は66秒6-11秒8だった。今週はウッドで単走、やはり大外から。馬の気持ちに任せて強くは追わない。それでもバランスが良く、力感ある走りで66秒3-11秒9をマークした。馬体は充実しているし、いいデキにあるのは間違いない。阪神は初になるが、問題なく対応できそう。ゴールドシップ産駒でスタミナとパワーがあり、今の力を要す馬場は合っている。56キロも克服できていいだろう。あとは長距離輸送の影響が出ないといい。自在に運べる点は強みになるし、好勝負が可能とみた。
【ウインマリリン】評価A- 騎手S
4歳馬。岡田一族。3歳時には春にオークスで2着。好位のインから直線でラチ沿いを伸びるという競馬で、勝ったデアリングタクトとの差は半馬身だった。秋は秋華賞ではリズムの悪い走りになって15着に大敗。次にエリザベス女王杯を使って4着に健闘した。オークスの時のようにインでタメ、直線で2番手に上がるかのシーンをつくっている。上位3頭はラッキーライラック、サラキア、ラヴズオンリーユーで、価値ある3歳での4着だった。4歳になって、春は日経賞を制覇し、天皇賞(春)で外を回る形になりながら5着に駆けた。秋緒戦はオールカマー。好位のインにつけ、直線に向いて手応え十分。スペースがなくなったが、外に切り返して追い出し、2頭の間をグッと割って抜け出した。強い勝ちっぷりだった。その後は元から問題があった右の肘種が大きくなり、熱が上がってしまう。それでも美浦でウッドコースを中心に乗り込んできた。1週前は横山武史が跨り、マイネルファンロン(オープン)を追いかける稽古。直線の推進力はひと息で、遅れてしまった。今週は単走で終い重点。追われてからの伸びは先週よりも良く、ラスト1ハロンは11秒5だった。上がってきてはいるのだろう。やはり熱が出たことが実戦で影響しないかがポイントになる。もちろん、実力的には上位。武史は追いに関しては現役トップクラスだし、力を出し切れば上位にも。
【クラヴェル】評価B 騎手A+
4歳馬。祖母ディアデラノビアは、06年にエリザベス女王杯を3着、07年に4着。今年の6月に格上挑戦でマーメイドS(ハンデ51キロ)を使って2着。後方に下げて道中は行きたがっていたが、直線で大外からグイグイと伸びてクビ差に強襲した。続く中京記念(ハンデ52キロ)は直線で荒れている内を突く形になっての3着。新潟記念(ハンデ52キロ)は折り合い重視でじっくりと。直線で外に動かしてよく伸びたが、さらに外を走らせた牡馬2頭に及ばずの3着だった。それでも中身は濃い。その後は放牧に出され、栗東に戻ってからの調整は意欲的。1週前の金曜には、坂路で52秒5-12秒3でしっかりと追われた。今週はCWコースで前の2頭を追いかける形。直線で内から取りつき、楽な手応えのまま同入している。時計は66秒台-12秒台だった。いいデキにあるとみていい。行きたがる気性が課題だったが、控える形で息が入るようになってきた。GIで流れればガツンとは行かないだろうし、阪神の2200m(内)にも対応できていい。斤量が前走から4キロ増えて56キロになるのは楽でないが、末脚を活かす競馬ができると食い込むシーンも。
【コトブキテティス】評価C 騎手B
4歳馬。重賞の経験は、3歳時の紫苑S(10着)のみ。2勝目からの3勝は、すべて舞台が府中の芝2400m。3勝クラスの前走は、7番人気の低評価で、大外18番枠から出て中位の後ろで脚をタメる形に。直線に向いて、大外に構えて手応え十分。追われてしっかりと加速し、残り200mを待たずに先頭に立つ。そのまま最後まで脚を使って押し切った。2分25秒7(良)だから時計は強調できないが、競馬としては強かった。馬体重が444キロ。春に2勝クラスを勝った時が432キロだったから、パワーアップしてきたのだろう。中間は美浦でウッドコースと坂路を併用して熱心な乗り込み。今週はウッドコースで前を大きく追いかけ、直線で内に併せると馬なりのまま軽快な動きを見せて同入した。時計は67秒3-11秒7だった。さらに上向いてきた印象がある。阪神の芝2200m(内)にも対応できそうだが、GIでとなると微妙。56キロも楽でない。輸送で馬体を減らさず、終いに徹すれば詰めてはくるか。
【シャムロックヒル】評価B 騎手A+
4歳馬。今年の6月に阪神芝2000m(内)のマーメイドSをハンデ50キロで10番人気ながらV。良発表でも少し渋った馬場、1番枠から主張してハナへ。道中は負担がかからないペース。直線で飲み込まれそうな感じになったが、そこからが渋太く、なかなか抜かさせずに最後はクラヴェルの追撃を抑えて勝ち切った。夏のクイーンSは別定の55キロ。大外11番枠から出していって3番手の外。3コーナーを過ぎると、鞍上の手が激しく動いて下がってしまう。直線で盛り返す感じで少し脚を使っていて、バテたというわけでもなかった。その後は放牧に出され、栗東に戻ってからCWコースで意欲的な調整ぶり。1週前にはジョッキー騎乗でしっかりと追われ、65秒台-11秒台をマーク。今週は大きめにとどめ、時計は70秒台-12秒級だった。ノビノビと走っていて、デキは良さそうだ。速い脚はないが、スタミナと持久力に富んだタイプ。阪神の内回りコースは、2200mを含めて2戦2勝である。GIで56キロでは楽でないが、バラけた好位でソツなく立ち回ると、見せ場はつくってくるだろう。押しが利くかとなると、簡単ではないだろう。騎乗する団野大成は若手の実力派で、同馬で2勝。
【ステラリア】評価A- 騎手S
3歳馬。春に阪神芝2000m(内)で忘れな草賞をV。中位で軽く抑えるぐらいの追走になり、直線は外めからしっかりと伸びて差し切った。1分58秒0(良)と勝ち時計が速いが、レコード決着になった桜花賞と同じ日で、高速馬場の中でのものである。オークスは13着。大外18番枠から流れに乗せようとしたが、2番手まで行って掛かってしまった。失速したのも致し方ない。夏場は休ませ、秋はぶっつけで秋華賞。攻めは大きめが中心で、実が入っていなかったのだろう。実戦ではヨレてスタートでうまく出られず、後方でタメてジッとして動かない。直線で少し外に出し、ジリジリと伸びて0秒5差の6着に上がった。中間は栗東のCWコースで意欲的な調整ぶり。1週前は追走する形から早めに内に併せ、直線は楽な感じのまま力強く引き離した。時計は66秒台-11秒台だった。今週は大きく追いかけて気持ちが入った走り。直線で内から追いつき、余裕ある手応えで同入している。時計は65秒級-11秒台だった。前走時より速い時計が出ていて、調教後の馬体重は前走比8キロ増の498キロ。叩いた分の上積みは大きそうだ。父はキズナで、母の父はモティヴェイター(Motivator)。モティヴェイターは英ダービー勝ち馬で、その父は仏ダービー、愛ダービー、凱旋門賞を勝ったモンジュー(Montjeu)である。また、BMSがモティヴェイターというのは、先に菊花賞と逃げ切ったタイトルホルダーと同じだ。強くはない体質を考えると軽い馬場の方がいいが、しっかりと攻められている状況ならタフな芝で走れるかもしれない。内回りの2200mも問題ないだろう。ヤネはガッツリと追ってくる松山弘平に強化。54キロの斤量利は大きいし、侮れないムードだ。
【ソフトフルート】評価B 騎手A-
4歳馬。3歳の秋に2勝クラスを圧勝して秋華賞に挑戦。大きくアオッて最後方から。4コーナーで上がっていくときに外に弾かれ、かなり外を回る形に。それでも直線で長くしっかりと脚を使って0秒3差の3着に伸びた。続くエリザベス女王杯は6着。中位の前でスムーズな立ち回りができ、直線は伸びてはいても切れ負けしたといった内容だった。上位3頭は強く、4着のウインマリリンとは3/4馬身+クビの小差だった。4歳になって、春に中京で外から力強く差し切って3勝クラスをクリア。マーメイドS(ハンデ54キロ)は1番人気で8着に終わったが、少し気分良く行かせすぎたか。秋緒戦は新潟牝馬Sを使って2着。スタートでヨレ、無理せずじっくりとタメる競馬に。直線で外に出し、渋太く伸びて2着に上がっている。体は増えていたし、確実に成長している感じだ。中2週とレース間隔は詰まっていて、攻めは栗東CWコースで2本。1週前は終い重点でラスト1ハロンが11秒台。今週は追走して内に併せ、直線で軽くうながして先着している。時計は68秒級-12秒だった。疲れはないとみていいだろう。軽い馬場の方が切れるが、少しタフな状態でも結果を出している。タメを利かせれば終いは確実。56キロは影響するかもしれない。型にハマるとあるいは。
【デゼル】評価B 騎手B
4歳馬。母は仏オークス(芝2100m)、仏1000ギニー(芝1600m)と、GIを2勝。3歳デビューで2戦目にリステッド競走を勝ち、オークスは2番人気になって11着に終わっている。4歳になって、春に3勝クラスと阪神牝馬Sを外から差し切る競馬で連勝。ヴィクトリアマイルは外からジリジリと詰め、8着でも2着とは0秒2差だった。走りのバランスはひと息で、上積みのない状態だったのだろう。夏場は休ませ、秋は府中牝馬Sから始動して16着。陣営が「急仕上げ気味」という状態で、17番枠から好位に上がって少し気持ち良く走り、4コーナーで反応がなくなっていた。その後は栗東で意欲的な調整ぶり。1週前にジョッキー騎乗でCWコースで追われ、3頭併せの内からで65秒台-11秒台をマークしている。日曜もCWで終いにやられた。本追い切りは、坂路でダービー馬マカヒキとの併せ馬。相手は馬なりで、こちらは一杯に追われて食らいついた。時計は52秒9-12秒9だった。使った分の上乗せは大きそうだ。2200mは長い印象だが、丁寧にタメて末を残せば伸びてきておかしくない。56キロの分は少し心配だが、いい脚を持っているので怖さはある。
【テルツェット】評価A- 騎手A+
4歳馬。2代母の仔にラヴズオンリーユー(オークス、クイーンエリザベスII世カップ(香港)、BCフィリー&メアターフ(米))。4代母が米、英、仏でGIを計10勝したミエスク(Miesque)。3歳の秋から休養を挟みつつ条件級を3連勝した。4歳の春にダービー卿チャレンジTに挑戦。スタートでトモが入らずに置かれたが、3コーナーを過ぎて外を追い上げ、直線で力強く抜け出して快勝している。しかも、ゴールした時に余力が残っていた。これで4連勝である。続くヴィクトリアマイルは後方のインで抑えつつの追走になり、直線は伸びずに14着に終わった。夏は函館芝1800mのクイーンS。ルメールが手綱を取って丁寧に脚をタメ、直線で馬群を割ってグイグイ伸びて差し切った。これもダービー卿チャレンジTの時と同じで、ゴール板を過ぎてスタミナが残っていた。その後は放牧に出され、美浦に戻ってからはウッドコースを中心に乗り込んできた。1週前はジョッキー騎乗で終い重点の併せ馬。追われてラスト1ハロン11秒7で先着した。今週は大外を回って71秒3-12秒5と大きめのメニュー。直線はバネのある走りを見せ、体もふっくらとしていた。420キロ台で小ぶりだが、いい瞬発力とスタミナがあり、パワーも感じさせる。前走の感じなら、56キロも克服できそうだ。初となる阪神には対応できるはずで、少し気のいいところがあるので折り合いがポイントになる。あと、長距離輸送で体が減らないといい。厳しい条件ではあるが、まだ奥がありそうで、警戒が必要になる。
【ムジカ】評価B 騎手B
4歳馬。3歳の秋にローズSで馬群を割って伸びて2着に好走している。続く秋華賞はゲートでアオッて後方から。4コーナーでゴチャつくシーンがあり、直線で大きく外に動かすという雑な競馬になった。それでも直線で脚を使って8着にはきた(4コーナーは15番手)。4歳になって、春に福島牝馬S(新潟芝1800m(外))で0秒2差の5着。直線で外からラチに押し込められる不利があり、引いて追い直してから脚を使っていた。秋2戦目の新潟牝馬Sは、後方から伸びて2着とアタマ差の3着だった。3勝クラスで勝ち切れないが、オープンや重賞でも相手なりに応戦してくる。中2週のレース間隔で、速めの時計は今週の1本。坂路(栗東)に入れ、終いに強めに追われて53秒2-12秒4をマークした。動きはしっかりしていた。ゆったりとした跳びで長めの距離は合う。56キロでも走れて良さそうだ。メンバーは強力だが、紛れがあれば。
【ランブリングアレー】評価A- 騎手A-
5歳馬。4歳の秋に京都芝1800m(外)で牡馬を相手にリステッド競走を勝っている。4歳になって、春に愛知杯(ハンデ54キロ)でクビ差の2着に好走。中位馬群でなだめつつ脚をタメ、直線で割って伸びて先頭に躍り出る。最後は甘くなってマジックキャッスルに交わされたが、3着に3馬身の差をつけていた。次走の中山牝馬Sは劣悪な不良馬場、ハンデが55キロ。中位の外を進んで泥はかぶらず、直線で外を伸ばす形に。自身も苦しくて大変だったが、前が止まったことで差が詰まって差し切る結果となった(レースのラスト1ハロンは14秒4)。ヴィクトリアマイルは一転して高速馬場で、10番人気と評価は低かった。後方のインでなだめて脚をタメる競馬に。直線はスペースができず、少し待ってから外に動かす。追われてからしっかりと伸びて2着に上がった。夏場は休ませ、秋緒戦はオールカマー。中位の前につけ、行きたがるのをなだめつつ追走に。3コーナー前からは外が動いて馬群に入る形になった。動きづらそうで、戸崎圭太は手綱を抑えたまま。戸崎のいつも捌き下手が出たかと思ったが、仕掛ける気もなかったか。直線に向いてから追い出し、ジリジリと伸びて0秒6差の7着で入線している。中間は栗東のCWコースと坂路で熱心な調整ぶり。もともと時計の出るタイプで、2週前、1週前とCWで65秒級で追われている。今週はCWに入れて楽に4ハロン51秒台-12秒3。前向きに気持ち良さげに走っていたし、体も充実している。叩いた上積みは少なくない。56キロはこなせそうで、問題は折り合い。オールカマーは今回に向けての試走とも思える乗り方だったので、これが勉強になっているといい。馬体や血統からは2200mに適性があるはずで、道中で息が入れば末脚を繰り出してきそうだ。
【リュヌルージュ】評価C 騎手B
6歳馬。古い話になるが、3歳時に忘れな草賞でハナ差の2着に駆けている。5歳になって、2月に2勝クラスを勝ち、次走で中山牝馬Sに挑戦した。馬場は不良、ハンデは50キロ。2番手を追走して直線で先頭に並び、粘り強さを発揮して3/4馬身差の2着に残った(勝ち馬フェアリーポルカ)。6月のマーメイドSはハンデが53キロ。中位のインを進み、直線で内めを渋太く伸びて3着に上がっている。秋にはエリザベス女王杯を使って12着。タテ長の展開の中位を進み、直線は目立つ伸びなし。ただ、バテているわけではなく、切れ味で負けていた。4着ウインマリリンと0秒6差で、大敗ということでもない。6歳になって結果が出ていないが、春の大阪-ハンブルグカップ(ハンデ52キロ)は道中で力むところがありながら直線で追い比べに加わろうかという場面があった(9着)。秋緒戦の新潟牝馬Sでは初めてチークピーシズを着用。逃げて少し気持ち良く走り、直線はジリ貧という下がり方だった。中2週になり、速い時計は今週の1本。ジョッキー騎乗で芝コースに入れ、新馬と併せた。外で並んで手応え良くキビキビとした動き。時計は65秒台-11秒台だった。叩いて順当に上向いている。今回もチークピーシズを着用する予定。ロザムールを行かせて2番手の競馬になるか、それともハナを奪うか…。スタミナはあり、後続の仕掛けが遅くなれば見せ場はつくってくるかもしれない。荒れ気味の馬場もプラスになる。ただ、やはり決め手では劣勢で、上位となると難しそう。
【レイパパレ】評価A+ 騎手S
4歳馬。3歳の1月に新馬を勝ち、そこから連勝を続ける。12月のチャレンジカップでは、2番手追走で力むところがあったが、4コーナーで先頭に並び、直線で渋太く脚を使って牡馬をしりぞけた。4歳なって春に大阪杯に挑戦、馬場は重。モタれてゲートはうまく出られず、二の脚がついてハナへ。道悪を苦にすることなく、気持ち良さそうに逃げる。4コーナーで後ろからグランアレグリア(4着)とコントレイル(3着)が動いてきたが、手応えは優勢。直線に向いて川田将雅が内を避けて外に動かし、しっかりと脚を使って4馬身差で快勝した。無傷の6連勝でのGI制覇となった。続く宝塚記念はユニコーンライオンを行かせて2番手から。道中はずっと少し力んで走っていた。直線で先頭に出たが、抜け出す余力はなし。クロノジェネシスに交わされ、最後はユニコーンライオンに差し返されて3着に終わった(2着とはクビ差)。秋緒戦は中山のオールカマー。10キロ増の442キロと、馬体が増えていたのは良かった。実戦はロザムールを行かせて2番手の追走。宝塚記念の時と同様に力みがあった。4コーナーではグローリーヴェイズがプレッシャーをかけてきて、早めに先頭に立つ形に。直線は残り150mまで頑張っていたが、最後は4着に落ちた。その後は放牧に出され、10月21日に栗東に帰厩。そこから坂路でこれまでよりもハードに乗られてきた。1週前には終いにしっかりと追われて53秒0-12秒5で先着。日曜にも55秒6-12秒4を乗られている。本追い切りはルメールが跨ってライトウォーリア(オープン)と併せ馬。追走して並んでからの感触が良く、最後は強めに追われて先着した。雨が残った馬場の中、52秒9-12秒5で動けば十分である。馬体も充実している感じだ。荒れた馬場はまったく苦にしないし、56キロは宝塚記念で経験している。やはりポイントは折り合い。あと、トモが入り切らないところがあるので、スタートをうまく出したい。そういう面からすると、ルメールというのは間違いなく適任者である。ロザムールとリュヌルージュが主張しそうで、好位で慎重に運ぶような競馬になるだろう。後続も同馬を意識はするだろうが、早くかぶせていくと自身が苦しくなりかねない。古馬のGIを勝っている唯一の存在。息が入ってスムーズなら戴冠まである。
【ロザムール】評価C 騎手A-
5歳馬。4歳だった昨年の12月に中山で3勝クラスをクリア。明けて5歳緒戦が中山金杯(ハンデ52キロ)で、ペースを落として逃げて4着に粘っている。春の中山牝馬S(ハンデ52キロ)は不良馬場の中を逃げ、4コーナーで並ばれる厳しい展開に。それでも一旦は後ろを少し離し、苦しくなりながらもハナ差の2着に残った(勝ち馬ランブリングアレー)。夏口は七夕賞(ハンデ53キロ)を使って2着に好走した。自分の競馬はできたが、2番手にいたのが力のある牡馬トーラスジェミニ(57キロ)。4コーナーで並ばれ、直線で1馬身ほど前に出られたが、最後まで渋太く抵抗してクビ差に踏ん張った。秋緒戦はオールカマー、2200mは初めて。外の15番枠からハナを奪い、道中は軽く抱えるぐらいの手応えだった。4コーナーでレイパパレに楽に並ばれ、直線ですぐに交わされる。それでもバタッとは止まらず、残り200mを過ぎるぐらいまで自身なりに頑張っていた。最後は脚が上がって10着に終わった。その後は美浦に在厩して乗り込んできた。1週前はウッドコースで大きく前を追いかける形。直線は気の悪さを見せ、併せ馬にならなかった。今週は単走で大外を回る形に。頭の高いフォームだったが、最後までしっかりと動いていた。時計は66秒8-12秒0だった。陣営は逃げ宣言。リュヌルージュとの兼ね合いがどうなるか。あと、レイパパレの折り合いと動き方がポイントになる。自分の競馬ができれば渋太く、荒れた馬場は問題にしない。恵まれればというところはあるが、GIではそれが叶うかは…。
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クロノジェネシスとラヴズオンリーユーが不在。GI馬はレイパパレとアカイトリノムスメの2頭のみである。また、56キロで走った経験のある馬が3頭しかいない。
レースはロザムールとリュヌルージュのどちらかがハナへ。その後ろにシャムロックヒル、レイパパレが続くことになるだろう。ジョッキーたちはタフな馬場のことを考えないといけないし、隊列、ペース、バラけ方は流動的である。
後半の先行勢の動き、後続の仕掛けるタイミングも読みづらい。内回りの牝馬の戦いは、駆け引きがあって見応えあるものになりそうだ。
スタミナとパワーを持ち合わせ、血統面でも魅力がある伏兵馬2騎を狙うことにした。
◎は宗像義忠厩舎(美浦)の4歳馬ウインキートス。詳しい解説は全頭診断にある通りで、岡田一族が育てた馬らしく、力比べ、消耗戦に強い。目黒記念とオールカマーの走りから、牝馬のGIでも十分に通用するはずだ。
はち切れそうな馬体で素晴らしく充実していて、攻めで豪快に動いた。問題はこのデキをキープできるか。中山でも輸送で減らしてしまうところがあって、今回は初となる関西圏への輸送である。陣営も対策は取っているようで、当日に大きく減っていないといい。
外の15番枠を引いたが、丹内祐次は同馬を手の内に入れていて、うまく流れに乗せて脚をタメるような騎乗をしてくるだろう。上りのかかる競馬になりそうで、渋太さ比べでの浮上に期待したい。
もう一頭の注目したい伏兵馬が斉藤崇史厩舎(栗東)の3歳馬ステラリアである。こちらも詳しくは全頭診断まで。まだ完全に固まっていない段階だが、豊富なスタミナを持っていそうな母系で、スムーズさを欠いて6着だった秋華賞を叩いて攻めを強化してきた。
同時にヤネも松山弘平に強化。調教後の馬体重で前走比8キロ増だったのは充実している証で、こちらも◎と同様に輸送で体が大きく減らないといい。54キロで走れるのは有利だし、穴を開けるシーンがあっても。
▲にはまったく人気のないイズジョーノキセキを置いてみた。3勝クラスからの挑戦では常識的には厳しいが、この馬は何か隠し持っている。ヤネは考えて乗ってくる和田竜二で、課題である折り合いがつくと大激走も。
△レイパパレはルメールとの相性が非常に良さそう。馬体が増えて体質が強くなってきたし、リズム良く走ることができれば大阪杯に続いて2つ目のGIタイトル奪取がある。
※アカイトリノムスメは母アパパネが成し得なかったエリザベス女王杯制覇に挑む。激戦だった秋華賞を勝ち、美浦に戻って中3週で再遠征。攻めは動いていて、目に見えない疲れが残っていないかだ。
以下はテルツェット、ランブリングアレー、ウインマリリンなど。
タフな馬場の中、タテ長で難しい競馬になる可能性あり。◎と○は伏兵馬で、連勝式は手を広げて買っていきたい。
◎15番ウインキートス
○5番ステラリア
▲4番イズジョーノキセキ
△1番レイパパレ
※3番アカイトリノムスメ
×8番テルツェット
×6番ランブリングアレー
×9番ウインマリリン
×11番ソフトフルート
【単勝】15番(10%)・5番(10%)
【複勝】15番(50%)・5番(30%)
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【馬連&ワイド】(ながし)
15→全通り
5→全通り
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【3連複】(軸2頭ながし)
5.15→全通り(15点)
4.15→全通り(15点)
4.5→全通り(15点)
1.15→全通り(15点)
1.5→全通り(15点)
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【3連単】(軸2頭マルチ)
15.5→全通り(90点)
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福島11R
福島記念(GIII) 11月14日(日) エリ女に似た状況?
福島の芝2000mで争われるGIII競走。
4コーナー奥の引き込み線からのスタート、コーナーを4つ回る。1回目にゴール板を通過してから2コーナーにかけてなだらかな下り坂。向正面には上り坂がある。4コーナーから直線残り170m付近までは緩めの下り坂で、そこから残り50mまでが上り坂になっている。直線距離は292.0m(Aコース使用時)。
芝は開催の2週目で、Aコース使用2週目になっている。土曜は良発表でも少し水を含んだ状態だったが、それにしても時計がかかっていた。ペースが緩んで先行馬が粘り込む競馬があったが、レースが流れて外からの追い込みが決まるケースもあった。気温が下がってきている福島での開催…。芝は使うごとに傷んでしまうのかもしれない。
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以下、全頭診断と騎手評価(50音順)。全頭診断は相対評価、騎手評価は絶対評価で、騎手評価は騎乗馬との相性を考慮する場合がある。
【アラタ】評価A+ 騎手A-
今年の春から休養を挟んで4連勝。夏の函館芝2000mでの3勝クラス勝ちは、レースが流れた中で外を動き、早めに先頭に立って押し切る強さだった。1分59秒3(良)の勝ち時計も評価できる。続いて中京芝2000mのオープン特別を重馬場の中でV。好位の後ろの馬群の中で追走ぶりが良く、直線で追われると長く渋太く伸びて差し切った。その後は放牧に出され、美浦に戻ってからはウッドコースを中心に熱心な調整ぶり。1週前にはメイショウムラクモ(3歳オープン)と併せて同入した。今週も併せ馬を行い、終いに少し気合をつけられて同入。時計は66秒6-11秒8だった。動きは良く、いい仕上がりにありそうだ。追われて少し頭が高くなるところがあり、まだ完成はされていないのだろう。その分が奥の深さを感じさせる。初の福島には問題なく対応できるだろう。ハンデは2キロ増えて56キロになり、メンバーも強化される。条件は楽でないが、4連勝中の4歳馬の勢いは軽くは見られない。大野拓弥は同馬を完全につかんでいる。
【ヴァンケドミンゴ】評価A- 騎手A-
祖母がオークス馬ウメノファイバー。4歳だった昨年は、夏に今回と同じ舞台の七夕賞をハンデ54キロで3着。秋はカシオペアSで3着に駆け、中1週で当レースに挑んでハンデ55キロで外から伸びてクビ差の2着に好走した。今年の秋も臨戦は昨年と一緒。カシオペアSは斤量が57キロで、荒れ気味だった馬場の内から脚を使って2着している(クビ差)。中1週でも栗東のCWコースで併せ馬を敢行(ジョッキー騎乗)。追いかけて内から並び、追われて先着した。時計は65秒台-12秒級。動きは少し重たいが、もともと攻めは地味なタイプである。今年はハンデが昨年から1キロ増えて56キロになるが、問題にはならないだろう。(4.1.1.1)のコース巧者、酒井学は同馬に乗って(1.2.2.1)。外を回す競馬が多いが、前走のことがあるので、状況次第で内を狙うかもしれない。タイミング良く動けると上位争いが可能になる。
【エフェクトオン】評価B 騎手B
ジワジワと地力を底上げし、5歳になった今年の夏口に福島芝2000mで3勝クラスをクリア。後方でじっくりと脚をタメ、直線はラチ沿いをスルスルと伸びて勝ち切った。ハンデは54キロと軽かった。初の重賞挑戦となった新潟記念は、ハンデが53キロ。外差しが決まる競馬の中で内めを伸ばし、0秒5差の8着で入線したから悪い走りではない。今回は2ヵ月半ぶりの実戦。美浦のウッドコースで乗り込み、時計になるところを6本乗っている。そのすべてで、ラスト1ハロンが11秒台だった。今週はサンダーブリッツ(オープン)と併せ、大きく先行する形から楽に先着。時計は66秒8-11秒8だった。これだけやれているのは、充実している証明になる。ハンデは引き続き53キロ。3勝クラスを勝った時のような決め打ち的な騎乗をするとハマる可能性がある。亀田温心は3年目で甘さのあるジョッキー。
【ココロノトウダイ】評価A+ 騎手A-
当レースに出走するフェアリーポルカの弟。3歳時は2月に共同通信杯で5着に駆け、夏に福島芝2000mで2勝クラスをV。秋にやはり福島芝2000mで3勝クラスを勝った。4歳になって年初の中山金杯を53キロのハンデでクビ差の2着。インの追走で少し行きたがっていたが、直線は勝ち馬ヒシイグアスの内に併せる形でしっかりと伸びた。前走は骨折明けで9ヵ月半ぶりの実戦。別定の57キロ、好位からで正攻法の競馬になり、直線は内にモタれて伸びを欠いた(9着)。中間は順調に乗り込み、今週はウッドコースで単走追い。大外を通り、終いに気合をつけられて推進力ある走りを見せた。時計は69秒2-11秒5だった。叩いた上積みを見込んでいい。ハンデは55キロと手頃。(3.1.0.0)と得意とする福島で脚をタメる競馬をすれば、しっかりと末を伸ばしてくるくるだろう。これまでの10戦はすべて丸山元気が手綱を取っている。重賞制覇のチャンスあり。
【コントラチェック】評価B 騎手B
5歳の牝馬。3歳時にフラワーカップ(中山芝1800m)とターコイズS(中山芝1600m)を逃げ切ってV。5歳になって春に中山芝1200mでオーシャンSを好位からの競馬で勝ち切っている。前走の京成杯オータムH(中山芝1600m)はスイスイと飛ばして逃げて1000mのラップが56秒8。1400mの通過は1分19秒6で、さすがに脚が上がって差し込まれた。それでも着差はクビである。美浦での調整は意欲十分。2週前にウッドコースで65秒9で追われ、1週前はウッドで65秒4。今週は追走する形で抑えたまま内から並び、最後も抑えたままで相手を煽る動きを見せた。時計は66秒2-11秒7だった。明らかにスタミナ強化を意識したハードなメニューである。ハンデは前走と同じで55.5キロ。初めて2000mを使うことになるが、折り合い重視で運ぶのは当然で、ハナにはこだわらないかもしれない。1200mのオーシャンSでも力んでいたので、息を入れられるか微妙ではある。スピード能力に関しては完全に上位。嚙み合えば馬券に残ることもあるだろう。北村宏司はテン乗りになるが、中間に稽古をつけてきた。
【ゴールドギア】評価B 騎手C
3代母がオークス馬アドラーブル。5歳だった昨年の春に目黒記念(東京芝2500m)を5着。直線は内でうまく捌けず、上位もあった内容だった。6歳になった今年の春に東京芝2400mでリステッド競走を差し切ってV。続く目黒記念では、上がりの速い競馬の中で外を動いて5着に食い下がっている。秋緒戦のオールカマーは11着。ダッシュがつかずに置かれる形になり、直線はジリジリと脚を使った程度だった。中間の乗り込みは順調。1週前にはウッドコースで3頭併せの外を進み、直線で追われて66秒8-12秒0で同入した(ジョッキー騎乗)。今週もジョッキー騎乗の併せ馬で、68秒0-12秒7で先着。1週前も今週もズブさを見せていたが、しっかりやれていればいい。ハンデは55キロで問題なし。福島は初めて、ハイペース見込みの2000mだと置かれることになるだろう。上がりがかかり、時計自体も少し要してくれないと…。初めて着けるブリンカーが効いてくれるといい。
【サトノエルドール】評価B 騎手A-
5歳になった今年の春に初めてブリンカーを着用。中山芝2000mの3勝クラスを早めに動く競馬で勝ち切った。続く新潟大賞典は大きな見せ場なく10着。夏は函館芝1800mでオープンの巴賞を勝ち、函館記念はハンデ56キロで直線で一旦は2番手に上がっての5着だった(2着とタイム差なし)。秋緒戦のオクトーバーS(L)は17着。大外18番枠からのスタート、外の追走で力み気味になっては伸びがなくて当然である。中間は美浦でウッドコースを中心に熱心な残り込み。1週前には3頭併せの内を通って無理はせずに66秒1-11秒8。今週は追走する形で内から追いつき、終いに軽く気合をつけて同入した。時計は65秒4-11秒9と見た目の印象以上に速く、仕上がりは良さそうだ。ハンデは56キロで問題ない。ヤネは3勝クラスを勝った時に跨っていた横山和生。ゲートが良くないし、少し雑な競馬になりがちだが、重賞でも脚力は通用する。折り合って進めるかどうかだ。
【ステイフーリッシュ】評価B 騎手A+
6歳の実力馬。デビュー2戦目にGIのホープフルSで3着。3歳の春に京都新聞杯(GII)を勝った。4歳時に福島記念を走り、57.5キロのハンデでクレッシェンドラヴの2着に駆けている。6歳になった今年の2月には京都記念で2着。2番手追走から早めの競馬で直線で少し引き離し、ラヴズオンリーユーに交わされながらも連対を守った。夏の札幌記念は心房細動で競走中止。秋のオールカマーは大外16番枠から出ての5着で、中1週で使った京都大賞典は直線で伸びを欠いて7着だった。中間は栗東で順調に調整。1週前のCWコース追いでは、ジョッキー騎乗で中ほどを通り、気持ち良く飛ばす感じで64秒台をマークした。今週は坂路の併せ馬。追われてモタついて遅れ、時計は52秒2-12秒4だった。目立ちはしなかったが、しっかりやれているから大丈夫だろう。切れる脚がないが、地力はGIIIで上位。ただ、トップハンデの57.5キロ、ハイペースになりそうで展開的には楽でない。軽視はできないが、崩れるケースがあり得るので強くも推せないといった感じである。坂井瑠星はテン乗りになるが、強くしっかりと追ってくる若手。攻めで跨っていて、感触はつかんでいるだろう。
【ディアンドル】評価B 騎手A+
デビュー2戦目から芝1200mで5連勝。4歳の秋から距離を延ばし、5歳の2月に小倉大賞典(芝1800m)で3着。次走の新潟芝1800m(外)で行われた福島牝馬Sを逃げて渋太く押し切り、GIのヴィクトリアマイルでは控える形から2着とクビ+クビ差の4着に応戦した。夏の中京記念(小倉芝1800m)は逃げて末をなくして8着。GIのあとだっただけに致し方ない面がある。今回は4ヵ月ぶりの実戦。いつも通り栗東の坂路で乗り込み、2週前が54秒1、1週前が54秒4だった。今週は併せ馬で同入して、時計は53秒5-37秒5-12秒5。動きは軽く、デキの良さがうかがえる。55キロは自身は問題としない数字。先行タイプが多いメンバーで、好位あたりからの競馬になるだろう。レースが流れて折り合えたとしても、2000mは少し長い印象で…。
【バイオスパーク】評価A- 騎手B
5歳だった昨年の夏に函館記念で3着(ハンデ55キロ)。同年の秋に福島記念を制覇した。ハンデは55キロ、中位のインで抱えるぐらいの手応え。直線で少し外に出し、しっかりと伸びて勝ち切るという内容だった。今年は夏に函館記念(ハンデ57キロ)で2着とハナ差の3着。続く札幌記念は、スタートして手綱の一部がハミに絡まり、競走中止になった。その後は放牧に出され、栗東に戻ってからは意欲的な調整ぶり。2週前に坂路で52秒0で追われ、1週前はCWコースで楽に67秒級-12秒台。今週は坂路で55秒5-13秒4と大きめで済ませた。体つき、動きは良く、、陣営は「申し分ない状態」と話している。昨年より2キロ重たくなるが、57キロのハンデで走れることは証明済み。スパッとは切れないものの、根性を出して粘り強く応戦するタイプ。テン乗りの泉谷楓真が慌てずにうまく誘導できるかがポイントになるが、スムーズに運ぶと上位浮上があっても。
【パンサラッサ】評価A+ 騎手B
3歳時は、夏にラジオNIKKEI賞で2着(ハンデ54キロ)、秋にオクトーバーSで2着。4歳になって2月に小倉の関門橋Sを好位追走から早めに抜け出す競馬で2着し、続く中山記念は出遅れて外を回る形になりながらジリジリと脚を使って0秒8差の7着とまずまずの走りを見せた。今年のオクトーバーSは、約半年ぶりの実戦。2番枠からハナを奪ってスイスイと離して逃げ、最後で鈍りながらアタマ差で粘り込んだ。ゴールしたあとは、またスッと脚を使っている。無酸素運動の限界がきたもので、スタミナが切れたわけではなかった。中間は栗東の坂路で順調な乗り込み。1週前に51秒1-12秒7でしっかりと追われている。今週はサッという感じだったが、それでも52秒9-12秒2が出た。軽い走りで、疲れもなく元気いっぱいだ。ハンデは56キロで、斤量は前走と同じ数字。菱田裕二は関門橋Sで跨っていて、2度目の騎乗になる。コントラチェックとディアンドルの動きが鍵になるが、ハナは譲らないか。自身は好位からでも競馬ができる。他に行かれた場合、菱田には冷静に対処してもらいたい。スピードは十分、スタミナと粘り強さも十分。自分のリズムで走れれば勝ち負けになる。
【ヒュミドール】評価A+ 騎手B
昨秋の東京芝1800mでの3勝クラス勝ちが馬群を割って突き抜ける強い競馬。その後の3走は長距離重賞で5着、5着、4着。5歳になって夏に小倉記念をハンデ55キロで2着。外で抑える形でコースロスがあったが、直線で外からしっかりと伸びた。さらに後ろでタメていた53キロのモズナガレボシに差された。前走の京都大賞典は10着。中位のインで追走ぶりは良かったが、直線は狭くなるシーンもあり、ジリジリとで目立つ脚は使えなかった。中間は美浦で順調な乗り込み。1週前にウッドコースで外を回って65秒7-11秒9の好時計が出ている。今週は大めを乗って終いに気合をつけ、しっかりと伸びてラスト1ハロン11秒3をマークした。前走で馬体を減らしたが、細くは映らない。ハンデは据え置きの55キロ。福島で勝ったのは2勝クラスの芝2600m戦で、2000mで今回のメンバーだとレースが流れて忙しくなるかもしれない。ただ、気持ち良く行くようなところを見せることがあり、折り合って脚をタメられると理想的である。力自体は通用するし、末を伸ばしてくるシーンがあっていい。
【フェアリーポルカ】評価B 騎手B
ココロノトウダイの1つ上の姉。3歳時に紫苑Sでハナ差の2着。4歳の春には中山牝馬S、福島牝馬Sと重賞を連勝している。5歳になった今年2月の小倉大賞典で久しぶりに牡馬と手合わせし、結果は0秒5差の8着だった。前走のクイーンSは56キロの斤量で強気の運び。直線で先頭に立ち、最後は鈍って4着に終わった。栗東に入厩してからは入念に乗り込んできた。2週前には坂路でジェネティクス(オープン)と併せて52秒9-12秒3で楽な手応えで同入。1週前にはCWコースで64秒級-12秒台の好時計をマークしている。今週は坂路で終いに強めに追われて、時計は55秒8-12秒6だった。大型牝馬だが、きっちりと仕上がっている感じだ。55キロは問題なく、2000mの距離にも対応できる。牡馬相手でタフな競馬になりそうだが、自在性があり、無理せずタメてタイミング良く動くと食い込むシーンも。
【ブラヴァス】評価B 騎手A+
ヴィクトリアマイルを連覇したヴィルシーナの仔、祖母の仔にシュヴァルグラン(ジャパンカップ)。4歳だった昨年に重だった七夕賞(福島芝2000m)で2着。次走で新潟記念を外から差し切って勝利し、12月のチャレンジカップではレイパパレの2着に駆けた。5歳になった今年の春は3戦して、いずれも凡退。鳴尾記念は良発表でも水を含んでいて、すべて馬場が悪かった。今回は5ヵ月ぶりの実戦。栗東に戻って10月3日が初時計で、その後はしっかりと乗り込んできた。3週前にはCWコースでユーキャンスマイル(オープン)と併せ馬。2週前にCWで中を通って65秒級-12秒級が出ている。今週はポリトラックで大外を通って67秒級-11秒台という調整で、動きはキビキビしていた。障害練習を取り入れているし、仕上がりは良さそうだ。ハンデは57キロで、楽ではない数字。福島は合うコースだし、しっかりとタメて末を活かす競馬ができれば浮上するシーンも。岩田康誠はテン乗りになり、稽古には跨っている。
【マイネルファンロン】評価B 騎手A-
オークス馬ユーバーレーベンの兄。4歳だった一昨年の夏に函館記念でクビ差の2着。2番手追走から直線で先頭に出て、マイスタイルに差し返された。力んで走ってしまうのが課題だったが、今年の夏の新潟記念では出負けしたこともあって後方で抑えつつ末を残す競馬に。直線は外に動かし、外ラチ沿いまで行きながらしっかりと伸びて差し切った。続く毎日王冠もタメる競馬をしたが、行きたがって息が入らず、直線で脚は使えなかった。中間もウッドコースを中心に熱心な乗り込み。1週前にはエリザベス女王杯に出走するウインマリリンと併せ、67秒8-12秒1の時計で楽に先着している。今週は単走で67秒5-12秒0をマーク。前進気勢があり、使い込んでいても落ちていることはなさそうだ。福島コースで3戦していて、福島記念は一昨年が16着、昨年が15着。ただ、リステッド競走で早め先頭から5着したことがあって、適性がないということはない。ハンデは56キロで問題なし。難しい馬だが、レースが流れて折り合いがつくと浮上する可能性も。
【モズナガレボシ】評価A- 騎手A+
3歳だった昨年の秋から3連勝。3勝クラスでは3着、2着、5着、3着という戦績だった。夏に中1週で小倉記念に挑戦、ハンデは53キロ。無理せず脚をタメ、直線入り口で大きく外に動かしていく。外差しが利く馬場の中でグイグイと伸び、ヒュミドールを交わして重賞制覇を決めた。今回は3ヵ月ぶりの実戦。栗東に戻ってからは、ポリトラックを挟み、追い日は坂路としっかりと調整してきた。2週前は52秒8-12秒8、1週前は53秒0-12秒4。今週は楽な感じで53秒8-12秒8で、軽快な動きを見せていた。ハンデは2キロ増えて55キロだが、問題になる数字ではない。機敏なタイプではなく、レースが流れて置かれる形になるかも。それでも、タメていけば後半で脚を使ってくるだろう。西村淳也は若手でも乗れるジョッキー。混戦の中で再度の台頭があっていい。
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芝中距離のハンデ重賞。トップハンデは57.5キロ、最軽量は53キロで、上下差は4.5キロとなっている。
芝は少しタフな状態。パンサラッサがハナを主張しそうだが、他にもコントラチェック、ディアンドルとスピードある先行馬がいる。偶然にもエリザベス女王杯と同じような状況…。どんな隊列、どんなペースになるかは、出てみないとわからないところがある。
和田勇介厩舎(美浦)の4歳馬アラタに◎を打った。目下4連勝中。ケフェウスSはハンデ54キロでクビ差の勝利だったが、スローの分があり、完勝と言える内容だった。
美浦のウッドコースでハードに乗られていて、引き続き充実した気配。一気に2キロ増やされてハンデが56キロになったが、それでも重賞でも互角に戦えそうだ。初の福島にも問題なく対応できるはず。大野拓弥は同馬を完全につかんでいる。
小手川準厩舎(美浦)の5歳セン馬ヒュミドールも注目される存在。夏に小倉記念で小回りの2000mを使ったが、外々を追走する競馬になりながら直線でグイグイ伸びて2着に好走した。
こちらも美浦ウッドコースでの動きが目立っていて、いいデキにあるのは間違いない。小倉記念と同じで55キロで、ハンデからするとこちらが優位とも思える。うまくハマれば頭で来るシーンまで。
▲はパンサラッサ。展開がポイントになるが、渋太さは特筆ものである。急仕上げ気味だったオクトーバーSを逃げ切り、中間は栗東の坂路で強い負荷をかけられてきた。前走と同じ56キロで走れるのは大きい。
△は昨年に当レースを制しているバイオスパーク(57キロ)で、※は叩き2戦目で大きく変わる可能性がある福島巧者ココロノトウダイ(55キロ)。
以下、ヴァンケドミンゴ、モズナガレボシ、エフェクトオンなど、警戒が必要な勢力が多くいる。
人気は大きく割れていて、連勝式は高配当期待で手広く買っていきたい。
◎10番アラタ
○12番ヒュミドール
▲8番パンサラッサ
△13番バイオスパーク
※2番ココロノトウダイ
×4番ヴァンケドミンゴ
×7番モズナガレボシ
×11番エフェクトオン
×15番フェアリーポルカ
【単勝】10番(10%)・12番(10%)
【複勝】10番(50%)・12番(30%)
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【馬連&ワイド】(ながし)
10→全通り
12→全通り
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【3連複】(軸2頭ながし)
10.12→全通り(14点)
8.10→全通り(14点)
8.12→全通り(14点)
10.13→全通り(14点)
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【3連単】(軸2頭マルチ)
10.12→全通り(84点)
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