重賞レース分析アーカイブ(2014年・府中牝馬S)
今回の【重賞レース分析アーカイブ】は、2014年の府中牝馬ステークス(勝ち馬ディアドラマドレ)です。
結果はこちら(netkeiba)
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【府中牝馬S(GII)】
エリザベス女王杯やマイルチャンピオンシップにつながる牝馬同士の戦い。府中の芝は開催2週目でAコース使用2週目になり、スピードと瞬発力が要求される状態だった。
レースを先導したのは予想通りオツウ。後続を3馬身ほど離す形になったが、3ハロン通過が35秒0、1000mが59秒2で、平均より少し遅いかなぐらいといったペースだった。そんな状況の中、直線で外から伸びた4歳のディアデラマドレが勝利をものにしている。
◆1着 ディアデラマドレ(4番人気・5番枠) 藤岡康太
5番枠からのスタート、ヤネは主戦の藤岡康太。ゲートの出は速くなかったが、トモが入らなかったというわけでもない感じだった。康太は出す気はなくて自然とポジションが下がり、後方2番手を進む形になった。
康太は意識していたか前に壁をつくり、抑えつつ脚をタメる乗り方をしていた。油断するとスイッチが入りそうな感じもあったが、息を入れて走らせることができた。
直線に向かい、外に動かして追い出しを開始する。少し頭が高いところがあるものの、独特の大きなフットワークでしっかりと脚を伸ばす。とりわけ直線半ばで使った脚は素晴らしかった。しかし、さらに後ろにいたスマートレイアーが外から不気味に迫ってくる。残り200mを過ぎてからは両実力牝馬による壮絶な叩き合いになった。
レイアーが並んできて交わされそうな感じになったが、マドレも反応して簡単には抜かせない。渋太く脚を使い、レイアーは最後で勢いが鈍って半馬身差で勝利をつかむ結果となった。勝ち時計は1分45秒7(良)で、自身の上がりは33秒2だった。
母のディアデラノビアは、牝馬重賞を3勝し、GIはオークス、マイルチャンピオンシップ、エリザベス女王杯ですべて3着とタイトルを手にすることはできなかった。秋は母の無念を晴らすべく、GIに乗り込むことになる。
3歳だった昨年はエリザベス女王杯に挑戦して7着だった。今年はエリザベス女王杯(11月16日)を進むか、マイルチャンピオンシップ(11月23日)を使うか、現時点で未定とのことである。どちらを選択するにしても、注目される存在になることは間違いない。
◆2着 スマートレイアー(1番人気・3番枠) 横山典弘
3番枠からのスタート、ヤネは初コンビとなった横山典弘。ゲート内で左を向いていて、スタートが切られるとアオッて後手に回る。ただ、阪神牝馬S(1着)の時ほどヒドい出遅れではなかった。
そのまま最後方に下がり、道中は慎重に抑えながらの追走になった。気性的にハミを噛むのは致し方ないところがあるが、ノリが丁寧に誘導した分で何とか息が入っていた。
直線に入る少し前に来ると、ノリが大外を回して追い出しに入る。ノリのことだから「内を回って直線で仕掛けを待つ」という攻め方も考えていたと思うが、春のヴィクトリアマイルで気をつかって馬群に突っ込まないところがあったので、陣営か馬主から外を回すようオーダーが出てしたものと推察される。
レイアーは力感あふれる走りでグッと伸び、直線半ばでマドレを射程に入れる。交わしそうな感じもあったが、マドレも脚を使っているだけになかなか前には出られない。クビから半馬身ほどの差が詰まらず、最後は勢いが鈍って2着に終わった。
テンションが高いところがあり、ゲートが安定しないし、道中もガッと行ってしまわないか心配なところがある。京都の2200mで脚をタメられるかは微妙であり、マイルチャンピオンシップを使うのがベターだろう。マドレと同じ4歳世代。精神面での成長を待ちたい。
◆3着 ホエールキャプチャ(2番人気・12番枠) 蛯名正義
外の12番枠からのスタート、ヤネは昨年の当レース(1着)でも跨っていた蛯名正義。いつも通りゲートが開いて軽くアオり、一旦は後方に下がる。蛯名がうながしてハミを取らせ、ジワーッという感じで2番手に上がった。道中はオツウと離れて落ち着いて走っていた。
直線に向いて自然とオツウとの差が詰まり、蛯名はなかなか仕掛けない。これは「一頭になるとソラをつかう」というホエールの気性を考えてのことである。先頭に並んでからも十分に待ち、しごき出したのは残り300mを過ぎたあたりだった。
体力が残っているので脚を使って先頭に躍り出たが、やっぱり気を抜いている感じ。馬体が合えばまた別だったが、マドレとレイアーは離れた外で併せ馬で伸びていた。最後は完全に集中力が切れたか、スタミナが切れたかどちらともわからない感じでスピードが落ち、何とか3着に残るという内容だった。
ヴィクトリアマイルを勝つなどGIでの好走実績は多く、能力が高いことは説明するまでもない。しかし、6歳になった今も気性の問題がつきまとう。次はエリザベス女王杯を予定していて、ただ、馬場が悪くなりそうな場合は翌週のマイルチャンピオンシップに切り替えるとのことだ。
◆4着 キャトルフィーユ(3番人気・2番枠) 福永祐一
内の2番枠からのスタート、ヤネはレコード勝ちした札幌のクイーンSに続いて福永祐一。ゲートが開いてポンと好スタートを切り、物見をしたようで外にヨレてしまう。少し行って3コーナーに入るところで外から寄られて引いて下がるシーンがあり、これが痛かった。
道中は中位の少し後ろのインでじっくりと。直線は内めで馬群を割る形になり、自身なりにしっかり伸びて4着に上がった。スパッと切れるタイプではなく、上がりの速い競馬のなかでよく頑張ったと言えるだろう(自身の上がりは33秒9)。本格化していることはアピールできた。
結果はこちら(netkeiba)
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【府中牝馬S(GII)】
エリザベス女王杯やマイルチャンピオンシップにつながる牝馬同士の戦い。府中の芝は開催2週目でAコース使用2週目になり、スピードと瞬発力が要求される状態だった。
レースを先導したのは予想通りオツウ。後続を3馬身ほど離す形になったが、3ハロン通過が35秒0、1000mが59秒2で、平均より少し遅いかなぐらいといったペースだった。そんな状況の中、直線で外から伸びた4歳のディアデラマドレが勝利をものにしている。
◆1着 ディアデラマドレ(4番人気・5番枠) 藤岡康太
5番枠からのスタート、ヤネは主戦の藤岡康太。ゲートの出は速くなかったが、トモが入らなかったというわけでもない感じだった。康太は出す気はなくて自然とポジションが下がり、後方2番手を進む形になった。
康太は意識していたか前に壁をつくり、抑えつつ脚をタメる乗り方をしていた。油断するとスイッチが入りそうな感じもあったが、息を入れて走らせることができた。
直線に向かい、外に動かして追い出しを開始する。少し頭が高いところがあるものの、独特の大きなフットワークでしっかりと脚を伸ばす。とりわけ直線半ばで使った脚は素晴らしかった。しかし、さらに後ろにいたスマートレイアーが外から不気味に迫ってくる。残り200mを過ぎてからは両実力牝馬による壮絶な叩き合いになった。
レイアーが並んできて交わされそうな感じになったが、マドレも反応して簡単には抜かせない。渋太く脚を使い、レイアーは最後で勢いが鈍って半馬身差で勝利をつかむ結果となった。勝ち時計は1分45秒7(良)で、自身の上がりは33秒2だった。
母のディアデラノビアは、牝馬重賞を3勝し、GIはオークス、マイルチャンピオンシップ、エリザベス女王杯ですべて3着とタイトルを手にすることはできなかった。秋は母の無念を晴らすべく、GIに乗り込むことになる。
3歳だった昨年はエリザベス女王杯に挑戦して7着だった。今年はエリザベス女王杯(11月16日)を進むか、マイルチャンピオンシップ(11月23日)を使うか、現時点で未定とのことである。どちらを選択するにしても、注目される存在になることは間違いない。
◆2着 スマートレイアー(1番人気・3番枠) 横山典弘
3番枠からのスタート、ヤネは初コンビとなった横山典弘。ゲート内で左を向いていて、スタートが切られるとアオッて後手に回る。ただ、阪神牝馬S(1着)の時ほどヒドい出遅れではなかった。
そのまま最後方に下がり、道中は慎重に抑えながらの追走になった。気性的にハミを噛むのは致し方ないところがあるが、ノリが丁寧に誘導した分で何とか息が入っていた。
直線に入る少し前に来ると、ノリが大外を回して追い出しに入る。ノリのことだから「内を回って直線で仕掛けを待つ」という攻め方も考えていたと思うが、春のヴィクトリアマイルで気をつかって馬群に突っ込まないところがあったので、陣営か馬主から外を回すようオーダーが出てしたものと推察される。
レイアーは力感あふれる走りでグッと伸び、直線半ばでマドレを射程に入れる。交わしそうな感じもあったが、マドレも脚を使っているだけになかなか前には出られない。クビから半馬身ほどの差が詰まらず、最後は勢いが鈍って2着に終わった。
テンションが高いところがあり、ゲートが安定しないし、道中もガッと行ってしまわないか心配なところがある。京都の2200mで脚をタメられるかは微妙であり、マイルチャンピオンシップを使うのがベターだろう。マドレと同じ4歳世代。精神面での成長を待ちたい。
◆3着 ホエールキャプチャ(2番人気・12番枠) 蛯名正義
外の12番枠からのスタート、ヤネは昨年の当レース(1着)でも跨っていた蛯名正義。いつも通りゲートが開いて軽くアオり、一旦は後方に下がる。蛯名がうながしてハミを取らせ、ジワーッという感じで2番手に上がった。道中はオツウと離れて落ち着いて走っていた。
直線に向いて自然とオツウとの差が詰まり、蛯名はなかなか仕掛けない。これは「一頭になるとソラをつかう」というホエールの気性を考えてのことである。先頭に並んでからも十分に待ち、しごき出したのは残り300mを過ぎたあたりだった。
体力が残っているので脚を使って先頭に躍り出たが、やっぱり気を抜いている感じ。馬体が合えばまた別だったが、マドレとレイアーは離れた外で併せ馬で伸びていた。最後は完全に集中力が切れたか、スタミナが切れたかどちらともわからない感じでスピードが落ち、何とか3着に残るという内容だった。
ヴィクトリアマイルを勝つなどGIでの好走実績は多く、能力が高いことは説明するまでもない。しかし、6歳になった今も気性の問題がつきまとう。次はエリザベス女王杯を予定していて、ただ、馬場が悪くなりそうな場合は翌週のマイルチャンピオンシップに切り替えるとのことだ。
◆4着 キャトルフィーユ(3番人気・2番枠) 福永祐一
内の2番枠からのスタート、ヤネはレコード勝ちした札幌のクイーンSに続いて福永祐一。ゲートが開いてポンと好スタートを切り、物見をしたようで外にヨレてしまう。少し行って3コーナーに入るところで外から寄られて引いて下がるシーンがあり、これが痛かった。
道中は中位の少し後ろのインでじっくりと。直線は内めで馬群を割る形になり、自身なりにしっかり伸びて4着に上がった。スパッと切れるタイプではなく、上がりの速い競馬のなかでよく頑張ったと言えるだろう(自身の上がりは33秒9)。本格化していることはアピールできた。